虹
笹倉
妙高のスキー宿へ行く、女流棋士が滞在していて若しやと思ったら、鍵は開いていて、がらんどうでもって、湯も抜いてある、シーズンが終わって、いっとき休みらしく。
春さらば人の住まはぬ心地してスキーの宿を雪は降りつつ
吾妹子とこれの宿りを湯も抜けて名物シェフのアイスクリームは
雪が降って来た、もう春たけなわというのに。いったん海へ出て、秘湯の宿という、ちょうど反対側、笹倉温泉へ、なんでそうなるって、ようもわからん。そうしてやっぱり雪が降る。
荒川ゆ山越え行けば笹倉のしくしく春のあは雪ぞ降る
田口ゆも荒磯をわたり笹倉のしくしく春のあは雪ぞ降る
車はスノーを履いてない、もしや帰れぬかも知れぬと、
我と妹と夜もすがらせむ笹倉の笹をさひさひ雪はしの降れ
焼け山もひうちも烏帽子岳も見えなかったが、いちめんの雪を路面だけ溶けて、
明け行けばシルバーロードぞ烏帽子岳ひうちの山は見えずかもあらむ
フォッサマグナ館を見学、玉髄かなにか人の手指そっくりの石、
見よやこれフォッサマグナの引き出物妹が手指の玉髄ならむ
長いキャタピラのあるすべり台に乗ったら、おしりの皮を擦りむいたって、痛くって歩けない。
夕暮れてさらに心の幼びて二人遊びは滑り台とぞ
水産高校の練習船を見学、
能生の駅に鱈汁を食ひ若人の船を見ししがあひ別れけむ
初島
初島リゾートホテルに部屋を持つ会社につとめる子がいて、一泊一万円で優雅に遊ぶ、七人のmixy仲間でもって熱海から。。
五月には卯の花月夜ほととぎすまたも聞かめや初島に行く
てんなんしょうではなくって、長い花が伸びて、あれはなんていう、そうだうらしまそうと云った、浜辺は大小の岩。
潮騒のあらきいわをが片思ひうらしまそうの花にしぞ咲く
熱海で女の子四人と家族風呂に入る、うわ冥土の土産と、これやこれなん人畜無害のじっさ、
見よやこれ熱海女が潮の香若楓でのみずみずしかも
海は荒れ、わしは帰りの切符をぶっとばし、潮に濡れたほっぺたはほろ苦く、
初島にいくたび舟の行き返りしのび逢ふ瀬は過ぎにけらしや
湯沢
岩手から帰るのを、越後湯沢で待ち合わせ。点検の為の空っぽのゴンドラがぶら下がる、折しも花は満開の、
ゴンドラを空しく見上げ宿らふに湯沢の花の今盛んなり
老人どもの団体客が一組、
芽吹きあへ一人湯船に浸れるに思ひ起こさば妹も一人ぞ
しかすがに霧らひ明け行く花に花枕手巻ける妹を悲しも
湯治客集ひもよらむシャンデリア二人をのみに朝げしつらむ
越後一の寺という雲洞庵を尋ねる、
いにしへは大修行なる雲洞庵荘厳せむは新芽吹かへる
禅堂の畳はくされいたずらに客のよるさへ新芽吹かへる
妙高
もう一度妙高高原へ、
行く春は花に散りしく湯沢よりみずばせふ咲く池の平らに
新しい宿があった、芽吹く白樺の林に、
妙高は霧らひこもして唐松のこは白樺の芽吹かひ行くに
贅沢なオーディオルームがあった、持参のフィガロの結婚を聞く。
モーツアルトしのび逢ふ瀬を芽吹き山浮かれ呆けてパパゲーノぞ
いもり池
二人してみずばせふ咲くかそけしやし額縁ならむ妙高の嶺
いもり池美はしかもよかくのごとく満山芽吹く鶯の鳴く
別れはまた、
寄せ返しされも行かむ直江津のうたた波もに春の雨降る
安曇野
mixyの仲間と別れて安曇野へ行く、姫川に一泊、
宿らふは春ののげしの花に咲く乱れし汝は浴衣のみして
フォッサマグナを行く、雪の越後路はトンネルを抜けて、
塩入りのしのび逢ふ瀬を吾妹子やたれぞ迎えむはだれ白馬
花の喫茶店があったのに、お休み、
安曇野にに記さむものや花の店田の末にして去り行く惜しも
碌山記念館に高村知恵子の絵葉書があった、
碌山の残んの雪に忘れしや高村知恵子の切り絵を求め
鬼無里
まだ通ったことのない道を行こう、山を越えて戸隠のこれは裏っかわ。
山吹の春を迎へむ戸隠や小川の村には天文台が
鬼無里は山里、やまざくらの花吹雪を行く、
知るやこれ鬼無里の村を七曲がり八つ曲がりせむ花吹雪して
戸隠山の背には北アルプス。
戸隠の神なび遠く仰がむはつぎねふ雪の白馬にして
学生のころ中社に泊まって、
戸隠の中社と云はむもうでむは名物そばを何十年ぞ
ぶなの林の新緑、
黒姫は面隠み臥やせしくしくに新芽吹かへるぶなの林も
ねもころに寝ねやるいくつはだれ消え赤倉山をえんつつじ咲く
春さらば寄せあふ波を直江津のしのび逢ふ瀬の行方知らずも
長久保の宿
中仙道長久保宿の本陣には、子供が手をつないで七人、十人ほどの五葉松があった。
長久保の五葉の松は失せにけれなほも残んの汝が門構へ
疎開して小学校の五年まで過ごした故郷、
長久保の時はうつろひ半世紀なほ山川の形せるらく
真田は母方の実家、
古城なる弓場の稽古をたれ人か眺めせしまに庭のさんしゅゆ
松本のひったくさったく舞へや鳶お城の松は幾つ年ふる
女の子二人の誕生祝いに罷り出る、例によって上野駅しのばず口に集合、介護老人をみなして迎えて、
しのばずの花は蓮すか咲きにほひいくたび我れは極楽とんぼ
前の日鯉を釣りに行ったら、日に焼けてまっくろけ、
我が欲りす野鯉は釣れず郭公の鳴きわたらへば時過ぎにけり
でもってみなして、木村屋のあんぱんを買って食いながら銀ぶら。
木村屋のあんぱんを食らひ銀ぶらぞ坊主頭に花のかんざし
買ってえといってぶら下がると、グッチのバッグ三十万円とか、
買ってえとおねえちゃん二人ぶら下がる平面蛙も両腕重し
すりこぎの嬉し涙か鼻水かくしゃみ一発山芋の外
日比谷公園はドイツ祭り、ソーセージとビールをぎっちり詰め込んで、
日比谷公園ビールを呷る夏なれやドイツ祭りのファンファーレせむ
酔っ払って膝枕、
鈴掛の風はバッハの無伴奏夢か現か膝枕せむ
池袋に熊谷守一美術館を訪ね、
池袋さがし当てたるこはなんぞ熊谷守一天狗の落とし札
妹が子のアクセサリーに求めしは一筆書きの守一の猫
かぶと屋のうなぎを食う、三尾分も食って、きもの串刺しやら、心臓のぴくぴく動くやら、先生さまの奢りみたいだぜこれ、贅沢万歳。
見よやこれ百戦錬磨の包丁のぴっくり動く心臓をはや
池袋のホテルに一泊、
池袋しのび逢ふ瀬をさはがしき何故ならむあした明け行く
駅前には黒い背広のやーさんがどっと押し出し、こりゃぶっ魂消、
池袋何蒼天ならむ菖蒲草なんにのさばるごろつきどもが
湘南ライナーに乗って横浜へ、水上バスで赤煉瓦倉庫の公園へ、
ぼらは跳ねくらげは浮かび浜っ子の遊覧船に夏は明け行く
赤煉瓦は大にぎわい、広場には白つめくさ、ヘリコプターを売っていたり、サンバを踊っていたり。
赤煉瓦いにしへ今を盛んなりサンバに踊りつめ草かおる
遊園地の向こうに帆船日本丸が、
窓を開けみなと未来は夏なれや日本丸を順風満帆
タイ料理店でハッピーバースデイ、二人の名を記すケーキもついてさ、
女二人トムヤムクンは激辛のハッピーバースディ坊主の乾杯
ワシントンホテルは日本で一番人気だってさ、費用はリーゾナブルの上に、これは二十二階百万ドルの夜景付き。
乾杯は急転直下見よやこれ百万ドルの夜景の中に
赤い靴というバスに乗って、おねえちゃん二人は老人介護のまあさ、港の見える丘公園にはバラが咲いて、
薔薇の咲くいつか年老ひて物悲し港の見へる丘公園に
元町は銀座よりもいいんだってさ、電車に乗って鎌倉へ
お喋りはチョコレートを食ひ元町やなんにも買はずいざ鎌倉へ
浅間
北口だと云ったのに、南口で待っている、印象が強かったんだってさ、二度の別れを。
直江津は北と南にあひ別れ雨に土鳩の鳴くさへ悲し
忍び逢いだから始めての処がいい、では名前だけ知っている湯田中へ、
湯田中は父の浸れる信濃路の年へて我れも妹とし問ふれ
むきたまごからびーたんに発酵してだってさ
梅雨なれや降りみ降らずみ葵咲くい寝やる妹があへぎ幽けし
浅間山へ行こうといって、浅間園というのへカーナビ入れたら、とんでもない処へつれて行く、松本市郊外のりんご畑に、看板が一枚立つ、きえーやられた。
松本のひったくさったく舞へや鳶いつか見えむ浅間の煙
仕方がない、では長久保から佐久へと中仙道を行く、ここはかつてわしが故郷であった、出てより何十年、恐れ多くもさ、本陣に宿を借り。
長久保の我れも出なむ本陣や笠取峠の松を幽けし
小諸の懐古園に草笛を聞く。
草笛にいにしへしのふ古城を伽藍堂なるこはレストラン
はないかだが白く咲いて、
花筏越しの真人が雲井にかうそぶき行かむつれ添ふはたれ
高峰温泉という処へ行く、標高二千米。
吾妹子は何を悲しみ小諸なる町を廻らひ山方に行く
高峰の温泉こもらひ妹らがりしましくあらむ鳴けや鶯
小鳥の餌場があって、ひっきりなしにやって来る、りすも烏も。
赤げらのつがひに会ふて日は暮れて幾人してや高峰の宿
そう云えば途中にかもしかがいた、
浅間なる火を吹くいずこ高峰の黒斑の山にかもしかの行く
鶯の縄張り争いに参入。
鶯のうつろ鳴きせむ宿るには天を底なししゃくなげの咲く
草津なる地獄廻らひ吾妹子や過ぎにしことはな思ひそね
人はいさ残んの花を摘みし我が初々しくに甦りつつ
草津温泉へ一泊おまけ
花筏越しの真人が物憂さをなんで医やせぬ草津の湯
力士らがしのび浮世を湯揉み歌むかしを今に心映えせむ
しのび音も鳴くや鶯湯揉み歌今もむかしも何変はらずや
松之山
直江津からどこへ行こうって、松之山へ行ってみよう、わしのまあドライブコースだが、
田を植えて松之山なむ道の瀬に腹減り食らふ笹団子をし
大正時代の木造三階建て、松之山温泉凌雲閣はなを健在であった。山中にいいドライブコースがあって、霧の中を行き、じきに帰って来るつもりが、国道一一七号線へ出てえらいこった、晩飯の六時には間に合ったが大遠足。
吾妹子が松之山なむ田を植えてずくなし咲くか牛の行く見ゆ
門田辺は菖蒲に咲けど井の上のしもつけ花ぞ妹にしあらむ
翌日は信州へ入ると千曲川
千曲川花はしだれも散りしけば旅行く夏を白雲浮かぶ
そうさ、善光寺へ行こう、中学は門前を過ぎて通うわしが思い出の地、うわいっぱいよったくって善光寺さまのお参り。
夏来ても牛にひかれて善光寺今もむかしも何変はらずや
マッカーサー指令であったか、病気が傳るから触れるなと書いてあった、おびんずるさま。
マッカーサーも早に鬼籍ぞ信心のおびんずるさま空ろ面寄せ
パチンコで鳩を撃ったり、
門前の鳩を狙はむがきんたれいつか忘れて夢にさへ見ず
そうさなあ、わしみたいな年寄りをなんで、もったいなやの女菩薩、
年ふるも愛でしや妹を清やけしや青葉若葉の現し世わたる
なんにこれしもつけ花の見え隠れ松之山なむ霧らひかもする
妹と寝ね若楓でのみずみずし紅葉ずるまでの夏を迎えて
鬼無里から白馬へ抜ける道、
つばくろのまさきくあれば吾妹子や早苗を渡り白馬に行く
笹倉温泉
釣り竿を買って二人できすを釣る。
筒石にきすを釣るらむいくつまた別れを惜しみ荒磯辺わたる
一人帰る、一瞬居眠りして反対車線へ、大型トラックとワゴン車とセダンが背後に停まる、救ってくれたんだ命を。
茂み井を大欠伸して浮き世さの命つきたり破れ法界
うつせみの帰り来たりて思ひかて仰ぐ雲間に半月かかる
金沢で会うはずが
今度は金沢で会おう、当分車に乗るなってさ、電車で行こう、北越二号が八時半発、十一時半に着くと云っていたら地震になった。ひどい揺れで中越地震のぶりかえしか。どうにか持ちこたえてほっとしたら、柏崎がたいへん。町は壊滅状態だ、高速道路も電車も通らん。電車は復旧の見込みが立たない、そりゃわしが居眠り運転したあたりだ、ひどい土砂崩れ。
海底より押し寄せ来たる大揺れの柏崎とふ人知りぬべき
一つ命救はれたるに大揺れの柏崎とふ人知りぬべき
能登の地震とこれで三度めだ、さんざくただあ、こうなったらてめえさえよけりゃという気になって、えいやってらんねえや。
免れていずこへ二人しのび逢へ兼六園に宇治金時を
湯沢で会えないかといって、七日後に逢い引き、
見上げしや春は空ろのゴンドラの揺られ揺られて空中花園
アルプの里という高山植物園、
吾妹子やにっこうきすげおだまきにるりぼしやんまにひょうもんてふの
何十年ぶりでおおむらさきを見るか、
見よやこれおほむらさきの舞ひ行かな忘れ呆けし国のまほろば
高速道路の退屈に、ふいとおのれ失う恐怖、ふーんもしやして目を開いたまま眠るという、いいの、あたしが運転するってはあて。魚沼スカイラインが前の地震から復旧して、それがすばらしい景観、天にかかる大瀑布のような霧、
魚沼の流転三界霧らひ行く大瀑布なむナイヤガラとぞ
魚沼の雨降る山をほととぎす鳴きわたらひて町方へ行く
八石山ステーキは一度食べにきて定休日だった、牧場で経営する、おいしい、山菜のつけあわせもおいしい。
小国なる八石山のステーキのワインに乾杯群れあふてふも
どこへ行こう、妙高へ行こうといって、地震の柏崎をさけ、綾子舞いの鵜川の辺りもあぶない、いや妙高そのものがといって、松之山へまた行く。
雪にしや熱き湯ならむ松之山妹と寝ねやる小夜更けにけり
山深く行けば鷲が、
快楽やいつかこの世の見納めに舞ひ行くものは鷲にてあらむ
帰省ラッシュに
お盆の前に抜け出して、なんでまた湯沢。豪雨と雷、
あしかびの道に外れて我が行くさうとましくもあるか雨にそほ降る
秋山郷から志賀高原へ、かみきりむしを採集している人。問うほうも答える方もぶっきらぼう。
彩りにけだし長けたる虫取りの言問ひせむになにを物憂し
ゴルフ場のレストランに昼食。
牧場はあさぎまだらの秋にしや牛はのったり涎肥って
ホテルの人が覚えている、危うくニアミス、うちへ電話したら留守だったとか、オーディオルームでショルティの魔笛をかけ、CDが不調、飲んだジュースでもかかったか。
モーツアルト風の響みを松茂み魔笛を歌ひ阿修羅の夏は
帰らなけりゃならんだけどといって、戸隠からまた鬼無里へ、子連れの猿の一群。
なんにこれ猿の群れあふ鬼無里よも裾花川に秋を尋ねむ
小川村の天文台は夏草の中、問へるものなし。味大豆という村と、やきもち屋という家と、
信濃なるここはいずこか味大豆迷ひこんだる住吉の郷
吾妹子や百枚田んぼを見はるかすやきもち屋敷ぞ湯の宿りせむ
それから安曇野へ抜けて、掛け湯温泉へ、掛け湯温泉病院は母が入院していた。沓掛温泉は山奥、くつかけ時次郎は、小説の主人公なのだそうだ。六十三曲がりの道を。
沓掛の時次郎とふ聞こえては山を越え行く六十三曲がり
つひの我が母が病に宿れりし鹿掛湯の里に秋立ちにけり
お盆であった、十四キロの渋滞で三時間半、事故の遠回りで二時間半、なんていうまあえらい時に、
お盆には一つ余計の泊まり賃思ひ知ったか生臭坊主
鳴子の宿
フライフィッシングの道具を岩船まで取りに行って、それから北海道へわたろう、本州は虻がいて釣りは無理かも、なんで岩船かって、作って貰わないとさカディス針。朝日村道の駅のおもちゃ館を見る、
岩船の朝日村なむあかねさしのーんと笑まふ江戸の玩具も
勝木村の弟子が岩がきを五つ、
山北の弟子がよこせしいわがきの妹は食はずて一つ残りし
新日本海フェリーの夜の便はお休み、では秋田へ行くか、温海温泉に泊まる。五時すれすれ、とっつきの宿を取って、弟子もお相伴に一泊。
蔦屋なるいにしへ知るや酒もよし食らふもうまし一人湯船ぞ
宿にケイタイを忘れて、酒田へ行って山居倉庫見学から戻る、鶴岡から寒河江に向かって、またぐうるり元へ戻る。右へしか回れないんだってさ、左は苦手ってはてね。
月の山湯殿山なむ虹をかけて戻りも行くか雨は降れるに
レストランで昼を食べて、有名なくらげの水族館へ行く、人でごった返し。
しのび逢ひくらげの海に吸い込まれ広大宇宙か檻の中なる
鳥海山は霧の中。そこらへんに泊まろうと云って行くと、廃屋長屋のような温泉があった。
酒田には山居倉庫と問ひ行かめ鳥海山は雲の中なる
鵜の鳥は波も宿らへ出羽の郷かぎろひ行かむ同行二人
とうとう秋田市へ入った、ホテルを二軒断られて、三軒目が格安の上に、新装なって部屋は広く。うまいものは川端のすずらん通りと聞いて行く。食い倒れ秋田の真骨頂。エチオピア料理はどこ。
美はしきスフィンクスの咲まふにはめろんめろんぞ秋田の店は
妹はわしを復活させてもって、むせび泣く、生まれて始めての幸せという、
かき抱くたれにてあらむ歓喜天忘れ呆けて千手観音
体中喜んで生理が四日も早く来た、あれま。翌日は、夏油温泉とカーナビに入れて、秋田街道をひた走り、
稲を刈る出羽の田浦に別け入らむ村から村へ雨降りながら
北上川に出会うのは初めて、美しい山並みをゆったりと大河、夢のようなと、車を下りたら虻の大来襲。とっても釣りどころではなく。
鱒を釣る心もあらで紅葉はの田浦を行くか北上の瀬を
夏油温泉
みちのくのなほなほ深み山はぜやなんに賑はふ夏油の湯
早く着きすぎた、一時まで待つのは億劫だし、なんだかごみごみ、引き上げて山を出て行く。高すぎる米坂牛を食べてさ、奮発しすぎた。ワインを飲んで、それから中尊寺詣で。そのまあ賑やかなことは、参詣の人でごったがえす
国宝のなれは一つを貸し出して我が見まく欲り屋形の幡を
鳴子温泉
みちのくの鳴子の里と聞こえては夕暮れ辿る川も清やけし
鳴子というのは、こけしの首を入れる時に音が出るからだってさ、ふーん。
国道四七号線は芭焦の道だった、中尊寺からずっとさ、尿ケ関とかあってさ、最上川沿いに行く、しっとりと山深い奥の細道。戦に明け暮れた最上一族の里を、
朴の葉の浮きぬ沈みぬ最上川忘れ難なむしのひ逢ふ瀬を
提唱…提唱録、お経について説き、坐禅の方法を示し、また覚者=ただの人、羅漢さんの周辺を記述します。
法話…川上雪担老師が過去に掲示板等に投稿したもの。(主に平成15年9月くらいまでの投稿)
歌…歌は、人の姿をしています、一個の人間を失うまいとする努力です。万葉の、ゆるくって巨大幅の衣、っていうのは、せせこましい現代生活にはなかなかってことあります。でも人の感動は変わらない、いろんな複雑怪奇ないいわるい感情も、春は花夏時鳥といって、どか-んとばかり生き甲斐、アッハッハどうもそんなふうなこと発見したってことですか。
とんとむかし…とんとむかしは、目で聞き、あるいは耳で読むようにできています。ノイロ-ゼや心身症の治癒に役立てばということです。