童謡集二

童謡集二



なめくじ


なめくじどこへ行く、
銀色の道をつけて。
おいしいきのこを、
食べに行く、
むこうへつくまで、
何日かかる、
二日と半分。
 
なめくじ何がこわい、
銀色のあとをつけて。
かえると、
まいまいかぶり。
むこうへつくまで、
会わないか。
さあわからない。
  
なめくじ何が好き、   
銀色のしるしをつけて。  
しっとり降って、   
やさしいこけ。    
でも明日は、
かんかん照り。   
そうしたらお休み。   
  
なめくじ彼女が来たよ、
銀色の道をつけて。   
そっちへ曲がろう、
すてきな子。    
そんなところから、    
見えるの。    
もうきっと。    



からすか-お  
   
からすがね、
石を拾って、 
ぽ-んと落とす、
なんでかな、
なんでかなったって、
か-おかお。
 
からすがね、
人のあたまへ、
ぽ-んと落とす、
あぶないよ、
あぶないよったって、
か-おかお。
  
車に当たって、
キイ-ブレ-キ、
ばっかやろうって、
はげのおっさん。
 
車をおっかけ、
ぽ-んと落とす、
ふえ-仰天、
バイクの兄ちゃん、
「ばっかやろうって、
 からすがいった。」
これはなんたって、
一一O番。

ピ-ポ-鳴って、
パトカ-が来た、
仰天がらすは、
急上昇、
石はど-んと、
急降下、
フロントガラスは、
めっちゃくちゃ。

本官さんは、
ピストルだ、
鼻水ふいて、
ぶっぱなす、
どっかんどかん、
か-おかお。

うつなといって、
飛び出した、
両手をあげて、
銀行強盗、
手錠がっちゃり、
か-おかお。

本官さんは、
お手柄だ、
鼻水すすって、
ラ-メン一杯、
かあちゃん、
おまえを、
愛してる。

からすがね、
石を拾って、
ぽ-んと落とす、
なんでかな、
なんでかなったって、
こういった。

「ばっかやろうったら、
ふえ-仰天、
ピ-ポ-どっかん、
 か-おかあちゃん、
 愛してる。」



  恐竜ウィルス  

ドンクサキッドは早打ち名人、   
O・二秒に空缶二つぶっとばす、   
大統領の電話が鳴った、    
「恐竜ウィルスが盗まれた。」   
 
文明世界は崩壊だ、
エイズの千倍こわいやつ、
シンジケ-トの女スパイだ、
「ドンクサキッドあとを追え。」

女スパイはミセスバッティ、
ボインビ-トの悩殺兵器、
間一髪で追いついた、
自由の女神のへその上。

四発いっぺんO・三秒、
「盗んだものをこっちへよこせ。」
「あ-らかわいいピストルね。」
ボインビ-トの殺人光線。

「恐竜ウィルス一億円、
ロシヤに売ろうか東京か。」
目から鼻へとミセスバッティ、
ハエコプタ-に飛び乗った。

悩殺兵器に脳天しびれ、    
ほんのすこうし遅れをとった、   
ハエコプタ-から女スパイは、   
パリへ脱出コンコルド。    

ドンクサキッドは鈍行切符、   
凱旋門をチャリンコだ、   
女スパイは深海底、    
バチスカ-フで商談の。    

セ-ヌ河にはめだか一匹、   
ワインの底にも姿は見えぬ、   
どうせどけちのフランス野郎、    
ドンクサキッドは先回り。    
   
ドイツはどこだミュンヘンだ、   
アウトバ-ンをぶっとばせ、   
ポルシェに乗ってミセスバッティ、  
ではお得意のカ-チェイス。    

ボインビ-トの悩殺爆弾、
アウトバ-ンが舞い上がる、
「うわあバッハのカンタ-タ。」
キッド印のソ-セ-ジ。

脳天しびれてO・四秒、
女スパイの手先になった、
捨て子ゾウルス第三帝国、
スキンヘッドに口裂け女。

「恐竜ウィルス三億円。」
「刺青を入れたら信じてやろう。
ネオナチどもと交渉だ、
キッドの頭にかぎ十字。

いた-いキッドは気がついた、
「胸くそ悪うがきどもが。」
O・五秒大掃除、
女スパイはどこ行った。

道はてんからロ-マへ通ず、    
法皇庁の抜け穴だ、    
「ユダもアラブもいらんのソウルス。」 
ア-メンそうめん味噌ラ-メン。   

「世界平和だ寄付にしろ。」    
ミセスバッティスパゲッティ。   、        
トレノの泉に十円入れて、
ゼニゲバドンの東京へ。 

ドンクサキッドは追っかけた、      
ディスコノドンのTバック、    
「そうれ見っけたバッティおっぱい。」 
O・二秒もおしりの壁だ。   
   
「おっとそこまでシンジケ-トだ。」  
蝶ネクタイが取り囲む、   
「裏切り女はしばり首。」   
一人おまけの絞首刑。    
 新宿都庁を本拠地の、    

ジャパンポリスは面倒だ、
棺桶にして火葬場、
恐竜ウィルスは取り上げた、
キッドと二人バ-べキュ-。

なんまんだぶつアッチッチ、
「これをお飲み。」とミセスバッティ、
へんなとこから取り出した、
恐竜ウィルスのアンプルだ。

二人は飲んで爆発だ、
コンクリ-トをぶち抜いて、
モスラになって空を飛ぶ、
「風邪を引いたら、元に戻るわ。」

バッティモスラがそういった、
「シンジケ-トを攻撃よ。」
モスラの羽根は衝撃波、
ミサイルだってふっ飛ばす。

新宿都心を本拠地の
シンジケ-トも崩壊だ、    
ボスはロシヤに逃げ込んだ、    
KGBの旧別荘へ。    

二つモスラはあとを追う、    
恋も氷ったシベリヤだ、    
インフルエンザAソ連型、    
くっしゃん二人元へ戻った。    

つららになって凍りつき、    
「KGBはからっぽだ。」    
ボスはつららに犬ぞりを、  
「中国マフィヤに当たってみよう。」 

悩殺光線一万倍、   
つらら溶けてボスは昇天、    
「恐竜ウィルスは貰ったわ。」   
犬ぞりとってミセスバッティ。    

バックファイヤに手足しびれ、
ドンクサキッドは見送った、
あっちもこっちも雪野原、
たどりたどってバイカル湖。

戸数三百漁師の村が、
女スパイの故郷だ、
ちょうざめ取りの赤ひげが、
ボインビ-トの夫だそうの。

曲撃ち一秒ドンクサキッド、
漁師のひげはつるっつる、
「女スパイの女房を出せ。」
「ママ-シャんとこで手伝っている。」

「どこへ行ってたこの悪ったれ。」
ママ-シャの怒鳴り声、
「もうしない堪忍してえ。」
おしりぱんぱんミセスバッティ。

「盗んだものを返して下さい。」   
おそるおそるにドンクサキッド、   
「返してやるから手伝いな。」    
ママ-シャばあさん一睨み。   

ちょうざめ採りのシ-ズンだ、    
キャビア工場はフル回転、    
キッドはミセスと女の仕事、   
「どんくさいったらこの役立たず。」  

 仕事は終わって夕飯だ、    
 ウオッカあおってママ-シャばあさん 
「わたしゃバイカル海賊育ち、    
 青い月夜にゃ血がさわぐ。    

 あれは遠吠え狼の、   
 そうろり寄せて野郎ども、           
大まさかりをかっ飛ばせ。」
 飲んで飲んで夜は更けて。

「わたしゃバイカル海賊育ち、
末は王妃かしばり首、
あれはスバルの三つ星、
 死体になっても野郎ども。

闇い波間を乗り越えろ。」
どんざん波はバイカル湖、
「西も東もあるもんか、
一杯飲みゃあ同じよ。」

ママ-シャばあさん手を伸ばす、
ぐいとあおった恐竜ウィルス、
さしもロシヤのママ-シャが、
どっかり倒れて息もなく。

「母さんあたしが悪かった。」
むくろにすがってミセスバッティ、
 「夫といっしょにちょうざめ取りを。」
 泣いて誓ったその明日。

「何をしておる上天気。」
 むっくり起きてママ-シャの、
「おかげで風邪がふっとんだ。」
 どうやらこれでけりがつく。

 恐竜ウィルス低温効果、    
「誓ったことは忘れるな。」
くうらり睨んだ二つの目、
漁師の夫にひげも生え。

 大統領に電報だ、
「レイノモノショリス・キッド」
 ドンクサキッドは鈍行切符、    
セイシェル諸島で皿洗い。  

「あしたは舟でかじき釣り。」
O・二秒で空缶二つ、
 大統領の電話が鳴った、
「Aソ連型世界を征服。」



  バイオリン弾き  

 月の光になって、波になって、   
 リョンのバイオリン弾きが、   
 わたしの心を奪って行った、  
 ド-ル-ラララ、ド-ル-ラ。    

花になって、嵐になって、
リョンのバイオリン弾きが、
    わたしの耳を、奪って行った、
  ド-ル-ラララ、ド-ル-ラ。

氷になって、吹雪になって、
    リョンのバイオリン弾きが、
    わたしの手足を、奪って行った、
    ド-ル-ラララ、ド-ル-ラ。

  雲になって、木の葉になって、
 リョンのバイオリン弾きが、
 わたしの両目を、奪って行った、
ド-ル-ラララ、ド-ル-ラ。

だからわたしはお化けなの、
どこへ行っても外国の、
 窓の辺にはくもの巣が、
ド-ル-ラララ、ド-ル-ラ。



 ボスネコ   
   
 ちいろり小猫がニャ-ンと鳴いた、
 大ボス猫がのっそりと出た、   
 そこいら十匹しゅ-んとなった、   
「はい今晩は。」小猫が挨拶、    
「いい月です。」「いい月だ。」    
 四キロ四方は大ボスのしま。    
    
 小猫をつれて大ボス猫は、
 レ-ガンさんのステ-キを食う、  
 サッチャ-屋敷の冷蔵庫、   
 ぴっちゃりぴっちゃにゃ-んごろ、  
 大ボス猫はトロをぺろうり、    
「がきは帰った巡回だ。」   
  
 帰らないって小猫が云った、
「世間のことが知りたいの。」   
「知ってどうする。」「強くなる。」 
 大ボス猫はふわ-りあくび、   
「いっぺんだって負けなきゃいいさ。」
定刻通りの見回りだ。

「おまえの年にゃ山ん中、
雪かきわけて山鳥を追い、
兎を食って三ケ月、
毎年これが定めになった。」
大ボスさまがうっそり行けば、
犬のけんかもそれっきり。

「駅のシ-トに半日すわる、
 哀れなもんだ人間なんて、
長生きするっきゃ能がねえ。」
あっちもこっちも大ボス猫の、
 小猫はきっとやしゃ子にあたる、
「おっといけねえご帰館だ。」

小猫はあとへついて行く、
 のっそり入った貧乏屋敷、
 にゃ-おんごろったら大ボス猫が、 
せんべいぶとんにもぐりこむ、   
「うるせえってんだ。」がきおやじ、  
 しっぽをつかんでほうり投げ。    
  
 やぶれ障子に猫まんま、    
(昨夜の話はほんとかなあ。)
 大ボス猫は膝の上、    
 背中をなでてがきおやじ、    
「そうさこいつは猫又よ、   
 耳は三つに張り裂けて。」    
   
 大明神につごう三回、    
 猫の年なら百歳を越え、
 夜中の一時にお帰りだ、
 いったい何をしてんだか、
 外で会ったら知らん顔、  
「酒はさっぱりだめなようだが。」  

 三年たったら小猫は大ボス、
 貧乏屋敷に石かけ一つ、
先代さまのお墓があった、
赤のまんまがゆ-らり一つ、
「人間さまより立派な往生、
三日前から仏であった。」

くふうと笑ってがきおやじ、
大ボス猫はしっぽを立てた、
「まだいっぺんも負けはない、 
ボスをつぐならスマ-トに。」
おんなむねこじゃ大明神、
耳は一回張り裂けた。

2019年05月31日