童謡集三
童謡集三
ペンギンさんのドレミ
ドはどっかのど、
レはレッツゴ-のれ、
ミはみんなのみ、
ファはファンファ-レ、
ソはお空のそ、
ラはらんらららん、
シはしっぽをぴっ、
ド-れ食べに行こう。
ドはどっこいしょのしょ、
レはレッスンのれ、
ミはみんなのみ、
ファはファンタジ-、
ソはお空のそ、
ラはらんらららん、
シはしくじった、
ド-れもう一度。
春はまだ
うそが花のつぼみを食べている、
そんなに食べないで。
雪のなかにぽっかりと開いた穴、
きっとなにかいるぞ。
吹き荒れてとびこんだのどあか、
北海道へ行ったかな。
まんさくが咲いたまんま氷って、
日に当たって溶けて。
味噌汁に入ってたふきのとうは、
朝起きてとったんだ。
むささびぎゃ-
ばっさり飛んで、松の枝、
あれなんじゃいな、月の夜、
ぎゃ-っと鳴いて、あっちへ行った、
人殺しいったら、山の寺、
そうではなくって、運動会。
そうではなくって、UFOだ、
ワ-プといったら、山の寺、
ふわ-っと消えて、こっちへ行っった、
あれなんじゃいな、星の夜、
ばっさり飛んで、二匹になった。
とっとことっとこ、
あれなんじゃいな、
坊さん坐禅、
ぱ-んと一発。
し-んといっとき、
坊さん坐禅、
あれなんじゃいな、
とっとことっとこ。
ばっさり飛んで、松の枝、
あれなんじゃいな、雪の夜、
ぎゃ-っと鳴いて、あっちへ行った、
つららぎっしり、山の寺、
そうではなくって、春が来た。
そうではなくって、むささびだ、
つらら溶けて、山の寺、
ふわ-っと消えて、こっちへ行った、
あれなんじゃいな、雨が降る、
ばっさり落ちて、松の雪。
うりをべったり
き きつねが化けた た
つ 月夜の小犬 ぬ
ね ねこがとっつき き
よ 与太郎ん娘の の
り 両のほほ ほ
は はっかいてう う
ず ずっかいてが が
う 瓜をべったり り
と 父っちゃんに化け
つ つけてはっとこ こ
たぬきがいう う
めでたいな
つ 月の宮の舟大工 く
き 紀州のかわうそ そ
よ 嫁入りやどこだ だ
の 野っ原の三丁目 め
ば 番屋の猫がにゃ-お
ん んとこしょのあっち
に 荷は二つ届けた た
めでたいな
花の子守歌
金のお椀に月を盛り、
銀のお椀に雪を盛り、
一つ吸うてはねんころろ、
二つ吸うてはねんころろ。
天の舟には旗をのせ、
風の舟には酒をのせ、
一つ漕いではねんころろ、
二つ漕いではねんころろ。
浅い井戸には花の影
深い井戸には星の影、
一つ汲んではねんころろ、
二つ汲んではねんころろ。
近い橋には毛槍歌、
遠い橋には笛太鼓、
一つ聞いてはねんころろ、
二つ聞いてはねんころろ。
金の櫛には春の雨、
銀の櫛には秋の雨、
夢や現つやねんころろ、
なんに泣くとやねんころろ。
天の窓には吹き流し、
風の窓には影法師、
行くも帰るもねんころろ、
なんに泣くとやねんころろ。
、
はやい流れに桃を投げ、
おそい流れに箸を投げ、
人の浮き世をねんころろ、
なんに泣くとやねんころろ。
高い塀には竜のひげ、
低い塀には獅子頭、
末に生まれてねんころろ、
なんに泣くとやねんころろ。
金の太刀
むかし山の本田の長者さま、
たにしのように邪しまで、
背いた者にはに水やらぬ、
大勢連れて狩に出た。
弓矢がそれてあろうことか、
芹を摘む娘に当たる、
「鴨ではないが。」とその父親、
「なんとな。」長者は云った。
「それ射て鴨の父子じゃ。」
勢子どもはいっせいに弓を取る、
「なんということを。」
両手をあげて若者が立つ。
「わしは本田の長者そちは。」
「伊谷の十郎。」
名告って太刀を引き抜く、
「外道め成敗いたす。」
手勢をうち伏せ、
長者のそっ首をはねた、
「お逃げなされ。」娘の父親、
「責めは喜んで受け申す。」
よって伊谷の十郎は、
山の本田をあとにした、
噂も絶えて十何年、
父母の家屋根に、
月は二つと鳴りくらめいて、
金ねの太刀が抜き立った、
太刀には文が付く、
「ご不孝お許し下され、十郎は、
妻と二人月へ行く。」
月を仰いで父母が、
形見の太刀に涙流せば、
金ねの太刀が物語る。
故郷をあとに伊谷の十郎、
賊のやからを平らげて、
山川越えてやって来たれば、
風のたよりにこう聞いた、
「草もなびくと美しいやな、
松の長者のさゆら姫。」
尋ねれば松の門前、
苔むす大岩に太刀が一振り。
「この太刀引き抜いた者に、
ゆら姫をやる。」札が立つ、
なんのこれしき伊谷の十郎、
柄をとっては引き抜いた。
どんがらっぴっしゃ雷と、
その手になった巌の太刀、
「天晴れ見事引き抜いた、
そっ首はねたは四十と九人。」
まっ白い松の長者が引き合わす、
美しいやなさゆら姫、
三年三月は夢のよう、
子のないだけがたった一つの。
巌の太刀に見入る十郎、
思いは遠く父母の辺、
不意にあやしの気配、
切先走って斬りつけた。
朱けに染まって倒れるのは、
美しいやなさゆら姫、
返す刀で我と我が胸を、
「待った。」と云うて松の長者。
「末摘む花は宝のつぎ穂、
子のもうからぬ姫は末、
朱けに染んだ刃はつぎ穂、
鬼の宝を取りに行け。」
姫へのはなむけわしが為、
まっ白い松の長者が申し様、
伊谷の十郎ゆら姫の太刀、
行方定めぬ旅枕。
歩む行く手は太刀が知る、
西へ向かって十日余り、
さんさあ風に鈴が鳴る、
「宝の守りは鳴子太郎。」
四方八方白刃に舞う、
すねをえぐり耳をそぐ、
「死なば死ね。」伊谷の十郎、
ゆら姫の太刀をとって突っ走る。
とーんがらごろ綱はふっ切れ、
鳴子太郎の守りは抜けた、
山を揺るがす竹林、
ふーわり跳んだ巨大なけもの。
「千年劫をへて盲になった、
宝の守りは白虎二郎。」
十郎をひっとらえ、
急所を外してもてあそぶ。
雷のように喉を鳴らす、
氷の牙をすんでに逃れ、
十郎太刀をつっ刺して、
白虎の首にまたがった。
「めくらの目になろう走れ。」
虎は千里を行って倒れ、
日はとっぷり暮れて、
一つ屋敷に灯が点る。
くたぶれて宿を乞えば、
美しい女が案内する、
たらふく食って湯に浸り、
床を取ってこう聞こえ。
「宝の守りは屋敷三郎、
ゆっくり眠るがよかろう。」
古い書物が一冊あった、
詞を追えば目が閉じる。
「ゆめやうつつやたからぐら、
ひとついのちをふたつにかえて。」
二日を眠り十日を眠り、
ゆら姫の太刀を腿に刺す。
「あやしのえにしむなしくおわる。」
十郎ついに読み終えた、
一つ屋敷が火を吹いた、
炎の海を危うく逃れ。
笛や太鼓に行列が行く、
輿に乗る美しい花嫁、
「めでたいな。」伊谷の十郎、
「なにがめでたい。」若者が云う。
「くすのき様へ生け贄じゃ。」
ひよどりの大くすのきは、
あしたに二十の村を覆い、
ゆうべに二十の村を覆い、
七年に一度花嫁を迎える、
「そんなものは伐り倒せ。」
花嫁なんぞいらぬと十郎、
祟りが恐ろしいと若者。
「木挽を十人用意しろ。」
「ではそうしよう。」必死の若者、
夜を日についで木は伐られ、
「よそ者がなんということを。」
石のつぶてが飛んで来た、
八方にうなりを上げて、
「宝の守りはつぶて四郎。」
そう聞こえては撃ち当たる。
太刀をないでうち払い、
「くすのき様の花嫁じゃ。」
美しい娘が胸を押し広げ、
いったん止んでうち当たる、
「またの世に結ばれようぞ。」
むくろを抱いて若者、
石のつぶてをなぎ払い、
さしものくすが倒れ伏す。
「くすのきにふねをこさえて、
たからのたびはうみのはて。」
娘のむくろが口を聞く、
弔いおさめて伊谷の十郎。
大くすのきに舟をこさえ、
鬼の宝は海のはて、
伊谷の十郎ゆら姫の太刀、
十日九夜波枕。
とつぜん海はまっくらめいて、
「宝の守りは霧五郎。」
べったり凪いで五里霧中、
同じところを堂々巡り。
夢やうつつや幻に見え、
帆げたは腐れかじは利かず、
はやこれまでと十郎、
投げ入れたゆら姫の太刀。
切先光って波に浮く、
あとを辿って舟を漕ぎ、
霧五郎のはらわたを抜け、
しだいに海は吠え狂い。
ぺっかり稲光に大波うねり、
「宝の守りは嵐六郎。」
かじは吹っ飛び帆柱折れ、
木の葉のようにもてあそばれて。
海の藻屑と消ゆるには、
いくたり乙女が舞い歌う、
「ちとせをへぬるくすのきの、
ふねはちたびのあらしにたえて。」
へさきに立って十郎、
ゆら姫の太刀を抜く、
雷うってごう然、
ひるがえり六郎の目ん玉を撃つ。
どっと津波に押し出され、
生臭い臭いに電光、
波は逆巻いてうねり、
「宝の守りは大蛇七郎。」
おろちの七つかまっ首、
これに対えばあっちが襲う、
一つ失せりゃ二つ生える、
死に物狂いの十郎、
血潮に濡れる切先に、
美しいやなゆら姫の、
おもかげ佗って袖を振る、
したがい大蛇は海に消え。
すざまじい臭いがして、
いちめんに腐れ漂う、
「宝の守りは腐れ八郎。」
血いだら真っ赤の生首。
手足目ん玉くされわた、
おおぞろもぞろかき上がる、
うちすえひっぺがえし、
気も狂うかと十郎、
引き抜いたゆら姫の太刀、
鞘は衣に押し広がって、
清うらに舟を包む、
腐れの海は伝い抜け。
塩を吹いて海は泡立つ、
「宝の守りはひでり九郎。」
らんらんとレンズの目、
舟は裂け帆は燃え上がる。
お刀をとゆら姫の声、
引き抜いて日にかざせば、
光の渦になりくらめいて、
冷たいしずくと注ぎ落ち。
ひでり九郎を舟は抜け、
四つの守り五つの界を、
乗り越えて、流転三界、
鬼の宝は虹のはて。
金銀珊瑚あや錦、
紅玉碧玉しおみつの玉、
かりょうびんがか歌う羽衣、
へんげの壺にへらずのお椀。
命の泉につくも岩、
浮き寝の梯子天の速舟、
命の泉に太刀をひたし、
美しいやなよみがえる。
松の長者のさゆら姫、
ぬけがらは金ねの太刀に、
十郎ゆら姫天の速舟、
鬼の宝は積み込んで、
その夕映えの大空へ、
姫の指さす星の座、
「鳴子の星にめしい虎。」
「一つ屋敷につぶて星。」
二人数える星の座、
「霧のカーテン嵐の目、
七つ大蛇にくされ星、
ひでりレンズ。」と九つの。
「宝の守りは十郎お前じゃ。」
天の速舟が口を聞く、
「たしかにわしは伊谷の十郎。」
「舟は下界には下りぬ。」
人の持つ品にはあらず、
鬼の宝は鬼に返すか、
「月の国へ。」とさゆら姫、
「よかろうそこへ。」と十郎。
「その舟待てえ宝のつぎ穂。」
真っ白い松の長者は、
鬼になって後を追う、
十郎父母の屋根に。
金ねの太刀は振り落とし、
伊谷の里には十五夜、
浮き寝の梯子が舞い降り、
月の国へも行けるそうな。