童謡集四
童謡集四
ゆーばん世界一周
とんとむかしがあったとさ。
うちなん村の、ゆーばんは、うりが咲いても、寝てばっかりの、ぶーすーぷうらり、鼻提灯。
蝿がたかって、世界一周、くーらり回って、ぱちんと割れた。
のっこりゆーばん、旅に行く。
「どこへ行く。」
と、となりの姉さ、
「世界一周。」
すたこらさっさ。
「さんごのかんざし、買うて来て。」
姉さ云ったが、ひいらり花の。
もっけの河の、舟くいに、漁師のもっさが、舟をもやう。
ゆーばん乗って、棹をさす、
「かつおを取るで、夕には返せ。」
もっさが云った、
「はいな夕方。」
流れに乗ったら、わからない、河はどんざん、そで山過ぎて、ころも山、おうかん鳥が、きいろり鳴いた、枕崎には、夢の花。
「山川ふうらり、いいなあ烏。」
ゆーばんいったら、押し合い浜に、あわんとどもが、押し寄せた。
あわんと舟は、かにの爪、
「川の上から、神さまが来た。」
「神さまでねえ、ゆーばんだ。」
「そんなら歌え。」
棹とったら、ゆーばん歌う、
「ゆーばんぶうらり、
鼻提灯、
寝てばっかりが、
きんたまくさる。」
「神さまでねえ。」
爪にはさんで、ゆーばんを、せんぐらとへ、投げ入れた。せんぐらとは、渦巻いて、ゆーばんぷっかり、海に浮く。
どうしようたて、どんざん波の、しいらん魚が、口を開け、ぷっかりふーい、飲み込んだ。
しいらん魚の、腹の中。
屋敷を建てて、だれか住む。
「世界一周の、ゆーばんだ。」
「釣ろうとしたら、食われちまった、漁師のざっき。」
ざっきとゆうばん、二人仲良く、腹の中。
「百年めには、竜宮へ行く。」
ざっきが云った。
「しいらん魚の、お役人。」
「待ってはおれん。」
ゆーばん云った。
でっかい骨に、槍をこさえて、つっ突いた。しいらん魚の、浮き袋。
ぶふうといったら、沈没だ。
そこなんとの、そこなん岩に、しいらん頭を、ぶっつけた。
ぶーいと二人、吐き出され。
しいらん魚と、
「こいつを引いて、凱旋だ。」
漁師のざっきは、村へ帰る。
「世界一周の、ゆーばんだ。」
そこなんとの、門を叩くと、
「なんかご馳走が、作れるか。」
門番が聞く、
「いもん汁なら。」
「うんまいか。」
「そりゃあうんまい。」
ぎいっぷっかと、門が開く。
そこなんとの、美しい、みやはんのきろしただ姫さま、うんまいものが、大好きで、
「お口にあわずは、殺す。」
まさかりもって、大臣が立つ。
みやはんのきろしただ姫さま、
「うんまいはんのきろ。」
三ばい食べて、
「ぶーいぷっかり。」
「あれはんのきろ。」
でっかいおならが、止まらない。
「忘れておった。」
と大臣、
「そこなんとは、食ってはならぬ、いもん汁。」
大まさかりが、追っかける。
「ひえー。」
ゆーばん、ぷーいぷっかり、おならつかんで、海の上。
どんざん波に、十日もいたら、がいこつ印の、海賊船が、さしかかる。
「世界一周の、ゆーばんだ。」
「だったら乗れ。」
と、こぎ手にされた。
「そうれ行け。」
獲物めがけて、まっしぐら、ゆーばんだけが、あべこべじゃ。
「しょうがねえったら、飯炊きだ。」
塩水炊いて、大失敗。
一本マストの、見張り役。
ゆーばんぷーらり、鼻提灯、ぱっちん割れて、虹が立つ。
「一万両に、きれいな嫁さん。」
そうれといったら、まっしぐら、どーんと岩に、乗り上げて、いわなんとが、押し寄せた。
「ししっ鼻には、虹が立つ。」
「一万両に、きれいな嫁さん、おっほっほ。」
海賊船は、降参だ。
「おまえはなんだ。」
と、いわなんと。
「世界一周の、ゆーばんだ。」
「だったらこやつに、乗って行け。」
いわなんとは、けおるぐ鳥を、引いて来た。
「食われんように。」
けおるぐ鳥に、手綱をつけて、ゆーばんどっかり、大空へ。
村から町へ、花の踊りの、娘たち、どっかん大砲、戦争だ、うねりめぐって、大蛇の河の、森はうるうる、大ばけものの。
けおるぐ鳥は、右へ旋回、ぼやーと雲に、眠くなる。
「きーけおる。」
ひなは三匹、お城のような、巣の中の。
ゆーばんぎゃあと、ひなのまね。
ぎゃあぎゃあ三月、巣立ったあとは、空っぽの。
雪がさんさん。
巣ごと、スカイダイビング。ぴえーと滑ってゆーばん、どっかの家の、窓へ突っ込む。
青い目をした、女の子、
「世界一周の、ゆーばんだ。」
「お父さんも、お母さんも、ダンスに行って、帰らない。」
二人でもって、捜しに行った。
塩のホールは、酔っ払い。
波止場は烏が、かーおさや。
「キータラの、白いお化けが、さらって行った。」
あーんと泣いて、女の子。
「みやはんのきろしただ姫が。」
ゆーばん話す、
「みやごはん。」
「いもん汁食べて、ぷわーりぷっかり、あれはんのきろ。」
「はあはんのきろ。」
女の子は、大笑い。
氷の浜に、夫婦は踊る。
沈まない日が、くうらり。
「もう三日めよ。」
と、女の子、
「そうか道理で。」
「お腹が空いた。」
三人そろって、帰って行った。
ゆーばん一人、氷のダンス。
影と二人、手をつなぐ。
くうらり、お日さまに、とげが刺さって、ごおっと竜巻。
「せかいいっしゅう、ー 」
飲み込まれ。
にしんとたらが、いっぱい泳ぐ、そいつを食って、デルタヨッホの、港へ着いた。
デルタヨッホは、百万都市の、ゆーばんは、にしんとたらで、大もうけ。
竜巻印の、缶詰めだ。
にしん屋敷に、きれいな嫁さん。
ひげをしごいて、演説だ。オペラに行って、大あくび、蝿が止まって、鼻提灯、
「にしんのげっぷは、もういうやだ。」
きれいな奥さん、駆け落ちだって、
「そうだゆーばん、世界一周。」
屋敷を売って、車を買った。
野越え山越え、突っ走る、
「しまったわしは、無免許運転。」
ぐるぐるひーん、フェラーリは、入ったら出られぬ、シンダールの砂漠。
ぶっこわれ車に、ひっからび。
死んでゆーばん、ぼうぼうばっちと、砂嵐。
らくだビートが、鞭をひゅーるり、死体をさらう。
どんごろどんご、水を吸ったら、蘇る。
「ゆーばんだろうが、死体になったら、らくだビートの、財産よ。」
金山掘りに、突っ込まれ、明けても暮れても、働かされて、
「ゆーばんふーらり、
皮ばかり、
死んでも生きても、
同じだ。」
月がぺっかり、山の上。
「お月さま、金の糸。」
といったら、ぴえーと下がる、金の糸。
それつかんで、ふーらり浮いた、真っ赤なくもの、八つの目、
「なんてえ痩せだ、食えもせん。」
くもはふうっと、吹っ飛ばす。
明日夜明けに、吹っ飛んで、たんだろ村の、大男、たんだねーるの、耳の中。
「世界一周の、ゆーばんだ。」
「けしつぶが、何を云う。」
「けしつぶだて、役に立つ。」
「ほんとうか。」
と、たんだねーる、
「では美しい、たんだふろーりあを口説け。」
あざみの花の、イアリングに、ゆーばんを入れ、誕生祝いの、プレゼント。
「エーデルワイスに、替えて来て。」
美しい、たんだふろーりあは、恋人の、みおーんにいう、恋人みおーんは、エーデルワイスをプレゼントして、
「こいつはもらう。」
と、耳へくっつけ。
恋しい人よ、たんだねーると、日も夜もなしの、ゆーばん口説き。
みおーんは、たんだねーるを、追いかけた。
「止めろったら、シュミはない。」
「天の声だ、止められん。」
「もうきらい。」
と、美しい、たんだふろーりあは、たんだねーるに、鞍替え。
「どうじゃ、どんなもんだ。」
と、けしっつぶ、
「たいしたもんだ。」
美しい、たんだふろーりあと、三人そろって、乾杯。
ぱっちん、ワインが溢れて、河になる。
「めでたいうわあ。」
ゆーばん、流れて行った。
「せかいにっしゅう、にょうはんた。」
酔っ払って、着いたところは、戦場だ。
アラント軍と、フルント軍が、どうどうどっかん、鉄砲嵐、
「うるさったいな。」
ゆーばん、そこらにあった、旗を振る。
左右に振って、突き刺した。
大砲一発、
「百年戦争は、おしまいだ。」
あたりはしーんと、鎮まり返る。
「ごるたの丘に、旗が立つ。」
おうといって、大歓声、百万人が、手を取りあった。
「永遠の、平和のしるし。」
アラント軍の、大将が云った。
「旗の男は、銅像に。」
フルント軍の、大将が云った。
みんなでもって、塗り固め、
「世界一周の、ゆーばんだ。」
「ぐるっと回りゃ、世界一周。」
回るどころか、びくともせん。
鳩がぴいっと、糞をひり、
「となりの姉に、さんごのかんざし。」
月の光に、ゆーばん泣いた。
涙になって、流れ出す。
そうしてもって、貝のから。
「ゆーばんぶーらり、
貝のから、
うちなん村は、
海のはて。」
波間に浮いて、歌ったら、
「うちなん村は、
海のはて、
ぶーらりゆーばん、
貝のから。」
波はうねって、また歌う。
となりの姉さ、孫ができ、二人まごが、遊んでいたら、赤いさんごの、かんざしもって、しろいひげの、じいさま来た。
「世界一周の、ゆーばんだ。」
名告ってもって、
「みやはんのきろって、お姫さま、氷の浜に、ダンスを踊り。」
おもしろうに、話して聞かせ、
「そんでどうした。」
「それから。」
「八つの赤い、くもの目が。」
みんな話さず、あの世へ行った。
とんとむかし
天神山のきつねがさ、
小僧に化けて、
和尚のもちを食ったとさ、
なんまんだぶつ、
こんちきしょうめ、
和尚は怒って。
きつーい折檻、
くわんくわんと鉦が鳴る、
くったくったと鍋のふた、
あれなんとした、
いつんまにやら、
和尚が二人。
「そっちがきつね。」
和尚が云った、
「そっちがきつね。」
和尚がいった、
提灯さげて、
きれいな娘がやって来た。
坂東屋敷の法要じゃ、
十月三日に来ておくれ、
「ふーんわかった。」
「おときは出るか。」
おっほう笑って、
「そりゃ大ご馳走。」
坂東屋敷の提灯二つ、
「あらこれかしら。」
きれいな娘が、
火を点けた、
「あっちっちっち。」
しっぽを焼かれ。
きつねは走る、
野越え山越え、
十丸池に突っ込んだ、
じゅうといったら、
「ひい助かった、
若い娘は剣呑じゃ。」
しっぽをぱっくり、
十丸池の大なまず、
きつねは仰天、
「引き込もうかい。」
「釣り上げようかい。」
うんとこどっこい。
うんとこどっこい、
勝負はつかず、
天神山が仲裁だ、
「ひげを一本、
きつねが取って、
しっぽ半分大なまず。」
ひげを一本、
きつねは取って、
しっぽ半分すすきの穂、
天神山に月がぺっかり、
勝負はついた、
すたこらさ。
坂東屋敷の法要だ、
なんまんだぶつ、
お経がすんで、
大ご馳走、
あんれや和尚の、
お袈裟が二枚。
あっちをぺろうり、
こっちをぺろうり、
「これなんとした。」
「なんともなんまん。」
きれいな娘に巻きついた、
「あらもったいなやの。」
地震ぐうらり、
なげしの槍がまっさかさ、
ぴったりつけりゃ、
「助けてくれ。」
きつねは逃げる、
槍は追う。
十丸池へ、
槍と見えたはひげ一本、
「しっぽを半分。」
ぱっくりまるごと、
大なまず、
「天神山の仲裁じゃ。」
天神山のきつねがさ、
しっぽがのうて化けられぬ、
月はぺっかり、
坂東屋敷、
お寺はさんさ、
雪が降る。
はたすすき
あいつは火星人だぜ、ヨシオさ、
つむじが三つ、水爆頭、
スーパーパワー、ライブドア、
なんたって100m23秒。
(x=つゆの玉にルート、光速一定だから雲の三乗。)
四教科あわせて5点だってさ、
おっかねえ工藤の数学も、あいつ、
ぶーすー寝てて、目開けると、
ぴったし今何時何分て。
りえちゃんの歌歌って、ぼこぼこに、
星野に、ぶんなぐられた、
水爆頭ふわーとつったって、
かわいそうだっても、大笑い。
りえちゃん、学校へ来るんだって、
「だれが呼ぶのか、乱れ雲、
月は三日月、流行り歌、」
りえちゃん、卒業生だもん。
(k分数にインテグラして、ソフトバンクの二重回線。)
あいつたこんなって、立たされて、
めちゃんこ書いてあるんだ、ノートに、
りえちゃんはタレントだが、
このクラスには、天才がいるってさ。
「浮き名をおくの、夜は明けて、
見果てぬ夢を、はたすすき。」
花束贈呈を、星野はいやだ、
みんなで天才に、しちまった。
かわいそうにあいつ、もしや、
腕とか足、もげちまったり、
「白い紙片に、吹き飛んで、
もがり笛かや、流行り歌。」
「さいの川原に、石を積み、
空しい恋を、はたすすき。」
整理券4000円だって、
そんなん駄目だ、星野のやつ。
「はたやほーたら、はたすすき。」
なぐられたって、不買同盟だ、
ヨシオを守ろう、恥だよ、
「紅葉の辺に、雪を置く、
名さへ忘れて、流行り歌、
最上川かよ、みをつくし、
破れほうけて、はたすすき。
はたやほーたら、はたすすき。」
「からくれないに、紅をさす、
憂いの夏を、流行り歌、
寄せては返す、潮騒の、
波の花さへ、はたすすき。」
大成功だった、テレビも来たし、
星野一派なんて、どうってことない、
見たか、あいつ花束といっしょに、
両足、浮き上がったんだぜ。