続由紀ちゃん四こま
続由紀ちゃん四こま
1由紀ちゃん電車に乗っていたら。2変な子対いに座ってスケッチブック取り出す、 3どうやらあたしを描くらしい、仕方ないから本読んでるふり。4下りるときちらと
見たらへたくそ、世の中いろんな人います。
1すけべ坊主ドライブの夢、2殿様清水に飯塚お汁塚という石碑。3恵美子ちゃん美 しいお女中になって清水を汲みご飯を炊きお汁をこさえ。4たくあん石のかあちゃん
出る。1どっかのおっちゃん電車ん中でワンカップ飲んで声張り上げて競り売り。2かと思ったら中学生とっつかまえて説教している。3やあだ酔っ払いおっちゃん、かわいそう真面目中学生。4アラッ放送禁止用語も飛び出した。まわりゲラゲラ笑ってる、あの子のPTAになって出てコラッてやる勇気ーない。
1すけべ坊主に云ったらほっとけってさ、仏はほっとけ。2中学生トラウマになって一生残るギヒヒッだって。3擬似おっかさんトラウマもって、なに云ってんのよでしゃばりのくせに、やあさんの真似大好き坊主。4おっちゃん別の電車でまたワンカップ買って競り売りやってた、あんなん名物なんかな。
1弟子と由紀ちゃん結婚式。2二人ともお金ないから届けだけにしよ。3つまんないよそんなの、盛大にやろ由紀ちゃん友達女の子いっぱい呼んでパーッとさってすけべ坊主。4あのとにかくお父さんに挨拶行ってからって、おそるおそる弟子云う。
1親父インチキ慎太郎でわけわかんないからって由紀ちゃん、2じゃわし代りに行ってぶっ飛ばしてやっかって、すけべ坊主。3イヒヒッ兄弟子寺へ入る時も生臭坊主ぶっ飛ばしちまって、どうなるかって思った。4どうなったの、雨降って地固まるってより押し流し、なに納まるものは納まった。
1その兄弟子、式なら早いめにホテル予約しろって。2新婚旅行のゼニぐらいおれが貸してやるって。3由紀ちゃんベトナム行きたいんだって、貧乏友達の美穂ちゃんと行くはずだったの、行けなくなったから。4なぬ夏の真っ盛り行くんだって、マラリアかデング熱なる。
1弟子首洗って親んとこ出かけて行った=マルだったって。2こんな年の過ぎたの貰っていいんかって聞かれた、はいいいんですって云った。3親父釈迦に説法で、とくとくとして弟子に仏教の話してた。4それ黙って聞いていてくれた、ありがたかったって由紀ちゃん。
1麻雀しよう相手あるってすけべ坊主、そんなひまねえですって弟子。2由紀ちゃんつれて札幌の両親に引き合わせに行く。3両親大喜びしてそこらじゅう観光案内。4結婚式のお金出してくれるっていった、盛大にやれますって弟子。
1そんなのいけませんてすけべ坊主のかあちゃん、自分が盛大にしたいため結婚式させちゃって。2だっておまえ女の一生は白無垢ウエディングドレスだぞって。3無理しないで式だけお寺で挙げて。4えへわし唯一の趣味披露宴のスピーチなんだってすけべ坊主。
1ほんとうなんだって兄弟子云った。あいつんときもこいつんときもスピーチでみんなかっさらった。2そうさ、来賓市長の演説形無しってな、教育勅語みたい、どだい日本人はユーモアのかけらもないでえ、あれじゃ成人式荒れるわけさって。3弟子ども戦々恐々何云われるかわからん。4あらあたし平気よウフッこれ以上どうってことないからって由紀ちゃん。
1九月友引の日に結婚式、2すけべ坊主のとこでやって、披露宴は近くの温泉旅館。3それ以前にすでに弟子は寺へ入っている、空き寺にはしとけん。4従いお盆が終わったらベトナム行き、新婚旅行じゃなく婚前旅行だ。
1弟子すけべ坊主の云うことを聞き、あっちを立てこっちを立て大変。2うふふそれがまああいつの特技ってわけよって、すけべ坊主平然。3わし酒飲めるようになったホレって弟子。4いっぱい飲んで固まっちまうのが三杯飲んでもってがんばる。
1年一回の禅門御祈祷大般若法要因みに得度式、2発心の人出家剃髪の式に、自分のかかっている歯医者先生気に入ったからって、すけべ坊主説教師に引っ張り出した。3今日は盛大な法要、由紀ちゃんも恵美子ちゃんも手伝いに来てる。4だって終わったら佐渡へ連れてってくれるって云った。
1インターネットで知って出家させてくれといって来た、これはすけべ坊主の十一番めの弟子。2十一という数字はげんがいいんですって新弟子、恋人がいてとうとう別れられなかったと云う。3世の中捨てるっていうのにふんなんてえこった、じゃ両親といっしょに呼べってんで列席。4シャバでは営業をやってたっていうし、坐禅これ一筋ってどっか見込みありそう。
1得度式じーんと来たって由紀ちゃん、前の晩真ん中ぽつんと残して頭剃って。本人はそんときが一番感じたみたい。2日本刀鍛冶がうった和剃刀あるぜえ、かっくいいってすけべ坊主3押しても切れない、もういっちょ押すとばかっと切れる。4あれどこへいったかな血だら真っ赤の感無量、どっかへしまい忘れた、新弟子ほっとする。
1由紀ちゃん女だわねえってかあちゃん。2なんでさあ。結婚するってとつぜん美しくなった。3そうなんだ、わしとこ拒絶反応する、4触ろうったら美しくなった、つまりわしのおかげだあってすけべ坊主。
1あーあ面白くねえ、美穂ちゃんと仲良くしようってすけべ坊主。2みっちゃんは由紀ちゃん旅のときは留守番してかめ三疋に文鳥に猫にすずむしの面倒みてくれる子。3うっふじゃ云っとくわ。4あの縁遠い人って薄幸の触れなば落ちんじゃなくって、その。
1歯医者先生の説教は阪神大震災や日航機墜落事件のこと。2わたしの話は死体のこったがそれでいいかと聞かれて、すけべ坊主いいぜ聞きに来るほうも半分死体なってるって。3手がぶらーりぶら下がったり生々しい映像ある。4面白いんだけれどお昼どき、先生遠慮して途中はしょる。
1おたくの坊さまうちじゃ人気者だって、歯医者先生たくあん石のかあちゃんに云う。2ちゃま付けるんだって、今日はセッタンちゃまドタキャンて受付の女の子が云ってくる。3あれわし気つけて普通にしてるってすけべ坊主、だって檀家の歯医者に愛想つかされたんだし。4また女の子に変なこと云ったんでしょう、違うってばさ。
1「阿賀に生きる」の小林映画監督も来ていた、山上進長岡後援会長の御夫妻も軍団引き連れて来ていた。2由紀ちゃん紹介された。3名刺貰ったり今度はもう是非おいでって。4映画監督みんなよせてどえらいすけべ話してる。
1もうじき3時よったくって飲んでる人いるし、賄い方の仕事はまだ、でも佐渡汽船もう行かないと間に合わない。2抜け出せないよ、由紀ちゃん遠慮しろ、あした恵美子ちゃんと二人きりで行くエヘヘッてすけべ坊主。3由紀ちゃん泣きまね、しょーがねえなじゃ抜け出すか。4電光石化弟子由紀ちゃん恵美子ちゃんすけべ坊主四人車に乗ってる。
1じゃ頼むな、花嫁さん泣くで仕方ねえってかあちゃんに電話。2そりゃもうかあちゃんお冠り。3でもわしの用事はすんだし、新得度者の御両親も感激して帰って行った。4そりゃあの人たちはほんとにいい人たちなんですっ。
1ちょうど微妙な折に、御両親お寺へ幾ら上げたらいいって聞いた。2五十万よこせ兄弟子の結婚資金に貸すってすけべ坊主。3しゃあしゃあ受け取ってそれ本尊様へ上がってる、4そうだかあちゃん金上がってるよ、え、なんですって。
1寺泊赤泊間二時間、小さなカーフェリイけっこう揺れる。2由紀ちゃん音大の仲間と沖縄へ舟で行って自分だけ酔った、弱い心配だって。3甲板にいわつばめの巣が十一ある。4そういえばこれテレビで云ってた。うひ糞だらけ。4新弟子十一って数縁起がいいんだってさ、あれ変なの、出来損ない入れると十二番目だったか。
1由紀ちゃんと恵美子ちゃんが宿を予約。2すけべ坊主佐渡は三回も来て、どこも見てない釣り禁止の閃角湾で釣りしてた。3そういえばさ、なんみょうほうれんげきょうの師弟がどんつくうちわ太鼓して歩いていたな、いやご立派、佐渡てのお寺廻りすりゃ五万とあらあなってすましてる。4なんでまた小木港まで行ってホテル、民宿にのしつけたみたいな。
1弟子と由紀ちゃんわしと恵美子ちゃんてすけべ坊主部屋割り。2恥ずかしいって由紀ちゃん恵美子ちゃんと女同士泊まる。3ちえ面白くねえや、温泉は塩水の露天風呂には月も出る、ふぐの白子と、めばるやら地物の魚が美味しい。4すけべ坊主女部屋進入してわあっ蒲団蒸しギャー水戸黄門責め、しまい物がおっ立った、あら寝た子が起きたのって恵美子ちゃん、うふう退散。
1明くる朝雨が降っていた、佐渡最南端の灯台を見て、たらい舟がわかめかなんか取ってて、なにしろ由紀ちゃん仕事があって一日限り、朝飯おにぎりして貰って早く出た。2由紀ちゃんナビゲーター弟子運転。3あたしたち朝飯食べるって坊主と恵美子ちゃん、けっこう豪華なおにぎり弁当食べる。4迷路みたい山ん中抜けるとまた海岸。
1佐渡にはコンビニないやっと見つけてごみ空缶捨ててガム買った。2入れ歯じゃガム食えないってすけべ坊主。3入れ歯外すとこみっちゃんに見られないように、みっちゃんてだれよ、由紀ちゃんの留守居美穂ちゃん。4うふっ雨止まない、雨の佐渡ってすてき。
1佐渡の金山この世の地獄、観光バスわんさか。2寒いよ坑道伝い穴の中、由紀ちゃんぶるぶるすけべ坊主の上着借りる。3水替え人足の自動人形ぐるっとこっち振り返る。4ギャッといって恵美子ちゃん、これほんとにぞっと来るぜ。
1ガラス張りに手突っ込んで金塊に触れる。2あれこれ張りついてるわ持ち上がらないってどっかのおっかさ。3どうれって坊主どうにか持ち上げる。へーえ重いんだわ。4向こうへ転がして触れないようしようか、アッハハみんなでわいわい。
1君の名はの閃角湾行ったら、雨降っててだれも車下りない。2行き過ぎて海岸端で朝食。3食っちまった坊主礒っぱた歩く、声張り上げて歌ってる。4砂かけばあさの恵美子ちゃん寝てる、名前かえてくれってさ、砂かけばあさいや。
1昨夜すけべ坊主はばたんきゅう、三人ロビーでなんのかんの。2そのうち二人でどっか行っちゃったって恵美子ちゃん。3由紀ちゃん帰って来て起こされた、だから眠いっていう。夜中お風呂行って来てそおっと蒲団入ったんだけど起こしちゃった、4そうじゃなくってせまったんだろ、実はそうなの、うふっ弟子より二人似合いの夫婦とちゃうか。
1田んぼや町を廻ってとき保護センターへ行く。2雨降ってる、売店で傘借りて行く。ときも仮り物のくろときもみな元気。3羽根落ちてないかな、釧路湿原行ったらたんちょうの羽根あったんだけどって。4売店で赤い鼻緒の草履買って、砂かけばあさの子どもちゃんにお土産。
1アルコール共和国行く、でっかい酒蔵とかあるんかと思ったら村をぜんたい。2真野御稜島流しの天皇さま、教養のない連中は興味ない、売店でおみやげ買う。3また草履買って今度は美穂ちゃんへおみやげって。4由紀ちゃん無念飲めない。
1十二時半までに小木港から直江津行きフェリーに乗る、2港の寿司屋で昼飯、金鶴というお酒うまい、3酒に酔ってりゃ船酔い大丈夫だよって無責任坊主。4由紀ちゃんの取って食ったら納豆巻ゲエッ悪酔いしそうって。
1小木直江津のフェリーでっかくて上等、こそっとも揺れない。2こんなの作るから赤字なるって、それ東日本海フェリーだ。佐渡汽船もたいていじり貧かもな。3ステージがあった、すけべ坊主上って月が出た出たって踊る。4どっかの人拍手うははっ、らしく頭下げてる。
1けっこう混んでた、船内探検の末めっけたあいいとこ、特二料金払って空っぽの部屋占拠。2枕並べてみんなで寝る二時間半の旅。3起きて枕投げ、由紀ちゃんのほっぺたにどかん当る。4だって幸せって書いてあるだもんて到着。
1恵美子ちゃんは一晩泊まって家帰る。2すけべ坊主また退屈な暮らし。3弟子結婚式の準備たいへん。4新弟子坐禅しちゃ草むしり。
1知的障害児のミュージカル三匹の子豚二回目公演大入り満員。2子どもたちのパワーすごい。3うふふあたしボランティアなのに一万円貰っちゃった。4かたすとき机に指挟んで血豆できた、罰当たった。
1送別会続いて天気といっしょに湿っぽいんだか、お腹こわす。2昨日は川原でバーベキューうふふ。3それから銭湯行って一時まで飲んでいた。4こんなん彼には内緒です、もうお酒も止めてあたしだってえーとその。
1結婚するって恩師に電話したら、癌でなくなっていた。2去年の秋いっしょにお昼食べたの最後だった。3どうして死ぬの、世の中みーんな敵に回してつっぱらかっていた時の唯一の味方だったのに。4今夜は痛飲する。
1すけべ坊主ドライブ梅雨空の川っぱた、雲の国にダンス、てやんでえ人も世の中もとっくに終わってらあな。3あらっ初めての道発見、外沢という部落あって、二キロ半道路予定地あって、ひえ対抗車来るとどもならん。4道んなった大崩という村だって、こんなとこで沈没ってキャハハッ。1k614どこ行っちまった、ケースにはピアノソナタ入ってる、花嫁結婚行進曲にしよう思ってるのに、わははっ終わっちまった余生にいいぜ。2うわでかぱいねえちゃん、かあちゃんかなこんなとこで埋もれてるなんて勿体なあって、色目使ったぞウフフッ。3やまどりしょーまと鬼百合と急に悲しくなる、4由紀ちゃん楽しかったな、慎太郎親父知ったらなんてえかな。
1砂かけばあさっていったら、恵美子ちゃんウツになった、違うバッハ聞いたせいだって。2このごろ俳句どうした=砂かけばあさっての止めて。3枕ぶっつけられてウツなったって由紀ちゃん、このごろすぐウツ抜けるってさ。4今日は子どもちゃん連れて買い物行くって恵美子ちゃん、あたしは髪の長あーい頭に口のあるお化けだってさ、こわいよ。
1新弟子なんか云って来ては放下著。2ぽけえトランプやってるすけべ坊主、サッカーと名付けた複雑怪奇な一人遊び。ドライブ行くか、殺し屋稼業でもうけようとか、たいていろくなこと云はん。3はたしてこんな師匠でいいのだろうか。4どんな師匠だっていい、自分で自分が許せるかどうかの問題。
1なんてえ無責任、2ばか断じて許さないよって。3年寄坊主四時半に坐る。4新弟子トイレ洗面五時二十分止静、ばかめ起きたら坐っとれ、なんたっててまひまのやつめ。
1弟子体質改善お灸すえてから坐る。2お経の声だって、ちらっとも悟らにゃ様ならぬ。3弟子五年かかってどうやらクリアする。4どう悟ったって生活護持教じゃしょうがねえって、すけべ坊主。
1デズニイシー行こうって恵美子ちゃんが云った、デズニイランドは恵美子ちゃん他何人かと去年行ったんだ。2ようし行こう花嫁置いて結婚式の翌朝ってすけべ坊主。3新弟子も行きたいっていう、交代運転美穂ちゃんも誘ってさ。4あたしデズニイ行ったことない、それ乗ったって由紀ちゃん。
1駄目だよ新婚さんは子ども作るの。2なんであたしだけ村八分うえーん泣く。3なに云ってんだ、ベトナム新婚じゃない婚前旅行行くんだろうが、だってえ。4ちえ一波乱ありゃいいのにってすけべ坊主。
1今日はたこ焼き屋のおっちゃんとこ最後のお務めって由紀ちゃん、ちょっと行かなかったらまた変なもん増えてた。2由紀ちゃんいなくなると、きっとごみ屋敷んなるぞ。3しばらく忙しくって行けないからって云っておいた。4十年後おっちゃんに会ったらなんて挨拶する。
1おっちゃんの作った歌ある、岩崎宏美が好きで、自分の作詞作曲の歌。2あたしが譜面に書いて歌詞もパソコンで書いてあげて、岩崎宏美さんとこ送った。3「山桃の古木嬉し町並みに、和む笑顔行き交いて、愛を信じ昔よりしるべ深き公智神社、花が歌う宮通り、いついつまでも咲き映えて、喜び人や誉れなれ。」といって、4白髪ふりかざして泣いて歌って上げる。
1うちの親父はやくざです、相手にしないで下さい。2披露宴のことや結納や場所や人数のことで、彼の両親に電話で怒鳴り込んだそうです。3わたしは死にそうです。4こんなときこそ坐ろうと思ってもとっても坐る気になりません、悲しいですって由紀ちゃん。
1親父が正しいんだよってすけべ坊主。2常識なしは弟子の両親のほうだぜ、北海道ってそういう人多いけどさ。3結納のことそりゃ貰うほうが一言あるべき、また場所の件はわし云ってやってもいいけど、弟子責任持つさ、本来向こうのお寺ですべきなんだよ。4まあさ、うまく持ってくからここは親父と仲直りしろ。
1それからもういろんなの、身内みんな、式前にベトナム行きも反対だし、なんというかわたしには、形式にこだわって本質を見失っているとしか思えないです、一闡提と云うんですよね、仏に会わず仏法を求めようともしない人。2彼からさっき「私のことはどうでもいいですから。」というメール貰いました、ハッと気がついたんです。3我がこと終わった人になる、そうですそういうことです。4坐りもしないでただもう文句ばっかり云って恥ずかしいです。
1ちえ犬も食わねえ勝手にさらせ。2慎太郎親父が正しい、そりゃ当然だってすけべ坊主云ったって伝えとけ。3キャハハッ親父と娘の泣き別れ。4はい逆らわないよう細心の注意を払って式までって由紀ちゃん。
1由紀ちゃんの親父すけべ坊主に電話かけて来た。2割れ鍋に閉じ蓋願ってもない花嫁さんですな大喜びとか。3今の若いもんは常識がなくってって親父云えば大賛成、式前にベトナム行くなんてけしからんて怒ってみたけど、そりゃもうわしらの世代用無しっていうかもうそのなーんて云ってる。4はいなにとぞよろしくって慎太郎親父。
1弟子の親父からもよろしくって電話来た。2なに慎太郎親父お寺にいくら納めりゃいいって聞いてるって弟子、挨拶に来たいって。3挨拶いらんゼニ貰おう、新弟子の親から50万ふんだくったから50万。4坊主まるもうけ。
1弟子の親結婚式費用出すっていった、ならゼニ二つわしのんもんだあ。2庭普請のゼニねえからそれにしよ、工面すんの厄介だもんなあ。3また年金で旅行できるかも、ゼニの亡者だ、かあちゃんの為ならえんやこら、4なんであたしが守銭奴なの
よってかあちゃん。
1ありがとう、うまいこと行ってるみたいです。2でも八日の前夜祭出席できなくなりました。前日は親もとに泊まるもんだって云います。3式終わってデズニイ行くなんていったらどうなるんだろ。4あと一カ月の辛抱、「たとい何あろうとすべてが是となるように。」そうです、自分に都合の悪いことでもマル。
1引き出物はおいしい手作りハムですってね、2わたしたちの為にしめられる豚さん。3デズニイシーは涙を飲んで和尚さまに「ざまあみろ。」を譲ります。4でも次回からは行こうっと。
1讃岐うどんはしごツァーというのに行って来ます、2もう行けないから思い切って、エヘヘ帰省ラッシュをものともせず。3さて私たちは結婚しました、つきましてはという弟子の案内状、ちっとは色付けりゃいいにって、すけべ坊主大笑い。4格好な夫婦になるかなあそれともー
1本日無事に帰って来ました、ベトナムは思ったよりきれいな所でした。2海外へ行くとお腹をこわすのに、そんなこともなく元気で過ごしました。3彼は熱を出してグロッキーになって、でもメコン河でボート漕いだり、クチトンネルというベトコンゲ
リラの蟻の巣のように深い狭い穴ぐらに入って楽しかったです。4ベトナム人の友達できましたよ、24歳日本に来たいんだけどとても難しいと云っていました。
1あんなタフな嫁さん心配するこたねえのにって、弟子写真見せてくれた。2これは悟り切ったお顔。3そうさ女ってこうなる、男もセックスもてめえ人生も一瞬卒業しちまうんだな。4OてえばO、まあそういうこったな。
1ベトナムから帰って、実はマリッジブルーとかにかかってふさぎ込んでいました。2何がなんだか訳が分からなくなってしまいました。3新潟へ行ってでっかい田んぼ見たら落ち着くかも。4和尚さまに会ったり坐禅したり。
1人生過ぎ越すってことあったら、当然そうなる。2でもさ、何がなんだか訳が分からない=正解。3至り得帰り来たって別事なし。4柳は緑花は紅。
1引っ越しの準備で忙しい、うつになってるの止めます。2何がなんだか訳が分からない状態は続いています。3残暑が厳しいです。4お寺へ入って朝五時に起きて坐るのが楽しみです。
1八月恒例の接心が終わって、恵美子ちゃんも来て30人もよったくって打ち上げパーティやって、2そういうことするからすけべ坊主は高名の僧にはなれん。3出家したいという人あって承諾する。4大学院に受かった三太郎が、こっちは学資の関係から取り敢えず手続き出家。由紀ちゃん恵美子ちゃん旅行仲間。
1新弟子と三太郎とで草刈り草むしり。2半人足の尻ひっぱたいて内外ぴっかぴかに磨き上げる。3荘厳道具揃えて、どんなもんだい世紀のイベント仏式結婚。4花嫁行進はk614第二楽章、兄弟子んときもそうしたし。
1芸能部長の兄弟子がいて式披露宴を取り仕切る、2すけべ坊主の娘と恵美子ちゃんと、いっしょにタイへ行ったときのタイシルク着て数珠かけて、三三九度の盃、サザーランドの埴生の宿。3すけべ坊主声名の三帰礼文。4弟子どもみんな寄って前晩リハーサル、でもって飲めや歌えや前夜祭。
1芸能部長宿酔い。2なんとか御詠歌もそつなく行って、3うわあきれい白無垢花嫁。4いまいち乗りが悪いすけべ坊主。
1いい感じの披露宴。2美穂ちゃんすげえ声張り上げてウクレレ弾いて歌津う、ギャアこりゃ思い込みとちゃうぜ。3婿どんけっこう歌える、飲めるんだあってちっと危険。4二次会三次会まで盛り上がる、おしまいしんみり昔の歌歌ってたってさ。
1和尚さまこの度びは本当にありがとうございました。2おかげさまでいい結婚式ができたと思っています。3一遍の名に恥じぬよう一生懸命=一遍という戒名を授けた。4明後日にはお寺へ入ります。
1一遍さんに授けた数珠は、美しい二重のふくさに入っていて、2それは仏さまのもの、3へんくつな父の生け贄になって夭逝した娘の、4ごめんよ日の目を見せてやりたかったんだ、輝くような由紀ちゃんの幸せを。
1すけべ坊主は弟に会いに行く。2アルツハイマーでもう寝たきりになった弟の、最後の別れ。3式の前日に連絡が来た。4ノーブルな面立ちは変わらず、澄み切った目をして弟は、そうだ常にわしより一歩先を歩く、これよりはわが心に。