ショートショート2

2010年06月24日 08:08 せっちゃん ショートショート・片雲
美食家で名を売った蜀山人という人の看板文字というのかな、片雲という額が500万円、お宝鑑定団の付けた値段だ、今後とも五百万以上にはならんだろうな、すばらしい迫力のある形のいい文字とさ、でもあれ文字になってないな。一休でも良寛でもへんてこりんでたらめであったりするのが文字になっている。大灯国師の梅渓の書はすばらしい、でもまるっきり子供のようなただもう糞真面目な書がある。わしはそれを見て感動した、ほんとうにこの世の中子供の心で生きたんだ、十八年間乞食をしてうっかり瓜に釣られて引っ張り出された。法難に対処する、死ぬるとき坐禅をするといって骨が突き出た人。
勝海舟の書もいいでたらめめったらみたいのが、上古の風がある。
書は人なりっていうんだな。
蜀山人は生まれが悪いのか、育ちがいいかげんなのか、白州次郎の奥方にひっぱたかれるだけのことはある。日本文化の伝統に背く。無心には程遠い。ピカソが認めたからといって、ピカソの思想にも届かぬ、卵の殻を破ったアルルカンの迫力を知らぬ。美食家だという一級品の美食を知らぬ、ものを食えば作った人の身心その思いが掌する、美食飽人底の喫する能はずと、茶碗も皿も本来のものにとっついたできもののような。
酔ひどれやアルゴー船の舵を取り手足を鍛えのピカソと云ふぞ
また見つかった水死人、ランボーとモーツアルトを引っ張り出して天才ピカソっていう映画があったな。あんなに儲かった絵描きはない、ゴッホもモジリアーニも文無し野垂れ死にだっていうのに、愛した女の手切れ金が絵一枚、それでも高すぎるってくらいの、わっはっは笑いが止まらんか、ふられてきちがいになった女もいれば、ついにピカソを袖にした女もいて。
つゆの玉ベッドの辺の灯りにてスペイン戦争ゲルニカ万歳

2010年06月25日 08:39 せっちゃん ショートショート・蓮
 死んじまった板垣百十治が、農地解放以来耕した山門内の田んぼを返してくれた。墓地にして駐車場にしてそれから蓮を植えた。蒲や葦がはびこったりざりがにが蓮の芽を千切ったり、さんざくたしたがどうやら咲く。
五百生野狐身を脱し蓮す花思んみれば田は夕映えすらむ
 ちょうどお盆には真っ盛り。
 一別以来不義理をたかしっぱなしのわしの師匠は、お元気で托鉢暮らしをしている、じきに会いに行けるかも知れない。
能無しの我れもとぶらへ蓮す花師は托鉢に暮らしつくして
 山形から小国に入る、花の越後という街道があった、通ってみた、むかしのおもかげがわずかに残る、老松の林があった、まつたけが取れたんかな。
見よやこれ花の越後のいにしへゆ月に竿させ松老ひ茂み
 なつかしいものは消えうせ、観光名所が生き残る。
 通称禅師どのはわしの一番弟子だ、貧乏寺に住んでいる、いじめられさんざくたのめに会って、わしはなんにもしてやれなかった。
 大悟している。
 何十年して、檀家が百万円ずつ寄進して、晋山式をして本堂を建てることになった。
 よかった。
形も悪し言も行かずは禅師どの仏なるかなや本堂を建て
 坊主仲間の爪弾きわしらの難行は、はあて終わるわけもないがな。

2010年06月26日 08:17 せっちゃん ショートショート・猿のはくせえ
 窓を開けたらだめって、へえたしかに爪あとがある、猿の群れだ、見る間にそこへよったかる。赤ん坊を抱えた母猿もいれば若いのもいれば、飛び跳ねるがきも大ボスもいる、十何匹。ふーん可愛いたってそりゃ可愛いんだが、テレビを見ると、フレンズだのラブだのなんだの猿が歌っている。いつのまに猿の惑星になったんだ、智慧足らずの歌詞にしょうもねえったら猿真似歌に、てなこというとぶっ殺されるで、猿の惑星で猿の悪口云ったら一巻の終わり、へーい。
 でもあいつは傑作だったな、SFの十指に入る、映画はダサいって猿がこさえたんだ、ちえなんでたけしのやつ三文映画作ってんだ、アカデミー賞だとさばっかじゃなかろか、そうかあいつも猿になったんだ。
 数の論理って云うのは人間で、猿は数の倫理ってー
 ぐへーかなわん屁ひって死ね。
 あのSFは、人が猿になったってことか、間が抜けてらあな、始めてわかったってえと、こっちも猿かげそ。
 だれのが臭いって、猿のはくせいうはは。人の剥製はどーなんだ、ガンジス河に毎度浮かんでるやつをー
 また見つかった永遠がってさ、人体模型の断末魔。

2010年06月27日 08:19 せっちゃん ショートショート・藁人形
 芦の尻というところに、ものすごい藁人形があって、道祖神だそうの、正月七日にこさえて、暮れのどんど焼きに燃やす。道祖神のお祭りは成人式というより、男の子のお祭りで、男根をまつったものか、セックスの和合神か。
 でもこの藁人形やぼったいったらど迫力。縄文時代が続いてるような錯覚を起こす。
 なにさ人間のやること石器時代に毛の生えたほどに、薄片石器で髭を剃ったといううっふう文化。どぶ溜めに落ちて伸吟する人間、はーてなパソコン電子文化。
 わっはっはじっさの出る幕じゃねーや。
 丸子には賽の河原の石積みのような結界がある、安曇野には百体観音、青木村の修那羅仏や、信州というか、どうも山に入るともう別世界があった。
 人の世界とはちがう浦島伝説か、それとも姥捨て山か。
 帰ってこない魂。
 キャンプしたら川音が甲高い女の声になって来る。どうしてもそう思えて、
「テントから手出してみろ。」
 と云ったら、だれも出せなかった。
 一人きりならどうなった。
 厄病を払ったという道祖神。道という大昔首にしんにゅうという白川静の説。
 いつでも化け物はいる。
 民俗学の柳田邦夫はエリートの頭脳明晰で、宗教民間信仰にはおよそ無縁の人で、もっと頭のよかった南方熊楠は、自分の息子を狂人にした。
 伊藤一刀斎も二人のせがれを廃人にする。
 化け物は彼自身だった。
 そういうの何人か知っている。
 やぼったい藁人形がおまじないになりゃいい、物心つくとはどういうこと、
 どんど焼きで燃してしまうすっきり。
 信州の自然はきびしいし、ホームレスってわけにはいきそうもねーか。

2010年06月28日 08:40 せっちゃん ショートショート・もりあおがえる
 杉の木に白いものがぶら下がる、もりあおがえるの卵、水っけもないのにさ、空梅雨で消えたか。笹倉温泉の露天風呂に蛙の置物がある、10センチはある、触ったらぐにゃすっとんで逃げた、もりあおがえるだった。お寺にも卵塊ができてほったらかし、秘湯の会の高峰温泉は標高1500メートルで、しゃくなげが咲いてうぐいすが鳴いて、かもしかがいて高山植物が咲く。鳥の餌場があって、赤げらのつがいとるりかけすが来た。どこでもまあさ烏がよったくる。都会人は随喜の山菜料理も、わしらにはペテンみたいな。
 混浴だってんで入ったら、男女別になっていた、すんばらしい料理は、板前が引き抜かれて駄目になったあれこれ。
 いけねえそんなこと云ってる場合じゃねーや、横尾忠則全ポスターっての内覧会招待状貰った、三回もすっぽかしたから行かにゃ義理が悪い。大阪中ノ島だって。
 大阪なんか行ったことない、あっちだろうな物騒だろうな。
 とにかく行った、盛大華やかなえーとあのよくわかんねー知的レセプションで、あんれ坊主頭のわしに一席ぶってくれという、
「忠則卿と同年だっていうじゃねーか、ぼけねえ長生きってのどだ。」
「へい。」
 と云って演説した、
「米軍基地は大阪にもってくりゃいーのだ、朱鷺と同居の佐渡も捨てがたいが。」
 いやちがった、何しゃべったんだっけか、大いに受けて、坐禅をしなさい悟りを開けば、女なら三十は若返るよ、男なら忠則郷のようにガス爆発じゃない、生ける屍いえよしあしの生長点、かく申すわしもこのとおりむなんまんだぶ。
 お開きになって秘湯の会、いやどっかホテルをって電車間違えた、ふらり歩いていたらずべ公が二人よったくる。
 いい鴨じゃない、
「どう二人面倒見る元気ある。」
「えーよ。」
 なんしろわしは若いんだ。
 どっか時化こんで、はてな、
「腹減った飯を食おう。」
「いいわよ飲もう、ここよ。」
 酔っ払ってトイレへ。
 用足すうちに、トイレが倒れこんで棺桶になって引き出され。
「一丁揚がり、二人だから三万あておくれ。」
 女の声がする。
「だめだこんなじっさ、薬にもアラブの奴隷にもならん、二人で三万。」
「ふーんでもなんかがんばってたけどな。」
 ふわ目が覚めた、大阪止めてやっぱ秘湯の会にしよ、もりあおがえる見て風呂に入ろう。

2010年06月29日 08:42 せっちゃん ショートショート・釣れない
浄土ヶ浜は宮古にあって、浄土ヶ原は裏磐梯の活火山、仏ヶ浦は下北半島祈願絶壁、現代人はさっぱり有難がらない、お賽銭も上がらない、観光観光かんこどりはてな。むかしの人は衝撃を受けたんだ、死にかけてて極楽浄土を垣間見た、死んでから恐山を見たふーん。臨死体験という、断食すると血液が澄んで、ものみな清らかに見えるてのなら体験したがな、喉元過ぎれば熱さを忘れ。
 見るもの聞くもの極楽浄土って、花鳥風月みな仏。究極の世界とは、自分というフィルターを外して見ればいいって、わっはっは実も蓋もない事実。
 なんにもないを説く難しさ。
 面倒は止めとけ、唯我独尊野垂れ死に。
 そういって歩いていたら変なばあさま来た。
 宮古から遠野へ、ついこないだ熊が出た。
「わしはおしらさまやってる、托鉢のえらーい坊さま聞いてくれ。」
 なんで托鉢だと見りゃ、墨染め来て上げ手巾して良寛さんだぜこりゃ。
「えらいってことはわかるが、なんだ。」
「わしはおしらさまして結界して、三途の川のそーずかばばも兼ねる、たいへん忙しいんだ。」
「そうさ、下っ端は忙しいんだ。」
「いえな、このごろは浄土も地獄も知らん、閻魔様も知らん、たわけておる。」
 世の中ややっこしい限りだ、
「うんだで、地獄草子現代版てのこさえてくれ、一目でぞっとこうなまなましいのをな。」
「引き受けた。」
 安請け合いしてぞっと考えた、ナチスドイツのホロコーストに、ユダヤなんぞ生かしておくから新地獄がさ、いや原爆広島のケロイドに、ロシアのシベリア送りに、東京絨毯爆撃に、こりゃとんでもねーこった。
 どれ一つ取ったって地獄なんてあの。
 ベトナムの枯葉剤に、金正日だの中国共産党の拷問。
 閻魔大王もひきつけ起こすぜ。
「こればーさまおしらさま、だめだあ難題。」
 おしらさまもういなかった。
 無差別殺人で一瞬人間になって、そのあとはぞっとムイシュキン公爵の。
 ふわーい欠伸、脳味噌超えると欠伸が出るんだ。
 きしょーめ托鉢止めた、釣りしよ、あんれ一匹も釣れねーやこの川。
 つれない話。

2010年06月30日 08:18 せっちゃん ショートショート・赤い茗荷
 がきんころねぎとにんじんが嫌いだった、お呼ばれしたらにんじんが出た、おまえ食えって猫にやったら、卓袱台かたしたら丸ごとある。
 猫はにんじん食わないってさ、はーい。
 山の谷間で、
「これがまたたび。」
 と、おふくろに云われて、熟れたまたたびを食った。どんな味か忘れてしまった、柿のようなオレンジ色。家にまたたびを植えると、そこらじゅうの猫がよったくる、金網張っていやたいへんだったとだ人が云った。この男赤い茗荷の花が咲いたといって、地方テレビに出た。
 たいへんに珍しいものだそうな。
 美緒ちゃんとわしは寒山拾得で、どっか行こうというとうん行こうといってついて来る。車に乗ってる中ジュース飲んで煙草吸って、おしっこっていう。ちっともう飲まんでいれたって、強い薬飲むから喉渇くんだとさ。しょーがねえどっか藪ん中ですませ。あいよー、見てやろうか、だめ。わっはっはあっけらかん。
 その日は、去年生まれて初めて舞茸取って、そりゃもう天にも舞う心地、出たかなあと思って行く。
 舞茸もなく、いちめんあったすぎひらもなく、赤い茗荷が咲いていた。
 紅よりも紅いという、黄色い茗荷と形同じで、
「てんで馬鹿で名前も覚えられんで、背中に背負って歩いたから、茗荷ってんだよ、知ってるか。」
「知らないけんども、だいたいあたしと同じ。」
 それ取って帰って来た。
 おそば食べようという、どっかでワインとなんか買ってお寺でやろう、飲めねーよ、じゃそうするって、十日町川口少千谷通って長岡で、ようやくた店めっけて買った。。
 あくる日中越地震が来た。とんでもない揺れで、震源地は川口という、なんでおらーとこ震源地って云わねーんだ、憤慨したら、あとで聞くとそりゃもうそんなもんじゃなく、舗装がそっくり裏返ったり、八百戸のうち三戸残して全壊、
家から出るのに一日かかったなと。
 赤い茗荷のしらせ。
 美緒ちゃんは山姥の血筋で、上田の雲洞庵にある山姥の木像がもうそっくり。
 鉢の石仏という、真ん中に女陰があって、周り美緒ちゃん顔の十三仏さまがある。江戸の石工が同じ顔こさえた。
 お不動さんが地震から守ってくれた、二人で行ってみたら無事だった。道の復旧には三年かかった。
 美緒ちゃんは、東京都の障害者手帳を持っている、阿修羅展を見に行ったとき90分待ちを、つきそい一名さまともはいどうぞ、並ばずにただで入る。
 美緒ちゃんにはだれかれ話しかける、拾得だなあやっぱり。


2010年07月01日 08:59 せっちゃん ショートショート・ライセンス
夜中に起きたら、鳴り物入りだ、鳳凰が飛んでいる、梅雨空の満月、松柏も手の舞い足の踏むところを知らず。面白くって眠れない。
 浮世に用無し、捨身施虎。
 くそったれのわがまま三昧、失笑物云うに疎く。
 1950年代のフィガロの結婚を手に入れた。堪能してCDが風邪引いた、諦め切れずもう一回聞く、復活した。うわーい涙のちょちょ切れる、もう飛ぶまいぞやっていたら、ポリ公が手をさし招く。
「すみませんねえ三条の方ですか、ここが40キロとは気が付かんかったでしょう、無理もねーです。」
 なぬ13キロオーバーでとっつかまった、
「あ、お坊さんですかいえお若いですなあ、ひひひ。」
 ゼニさえ払えばー下手に出やがって、怒鳴るわけにも行かん。
 一ツ橋出のおっちゃんが、カラオケたって歌詞知らんきゃ歌えんでしょうという、自慢じゃないが百回聞いたって覚えるもんか。
 ドイツ語やらねーんなら卒業させてやるって、軽蔑おくあたはざる手塚先生さまがいった、ふんなもな死んだってやるかといって、追い出されて来たはいーが、専門駄目ってこれ、世の中ナンセンスもいーとこ、しばらく困ったな、そりゃ今でも困るわさ。
 ドイツねーちゃんのメル友できて、フランス旦那に翻訳して貰う。
 ふっふっふ、ライセンスがないとあっぷあっぷ。前科八犯せっかくゴールドカード取ったてーのに、車の免許もこれだ。
 坊主免許あるってさ。
 坊主仲間の食み出し者、道元禅師の曹洞宗が、坐禅を蛇蝎の如く忌み嫌う。坊主と付き合う=嘘をつくこと。くーわあほくさ。
 禅のライセンスわし一人。
 もう一つ和歌を復興したな、人が立ち上がって歩いて来る大ルネッサンス、わっはっはこっちも坊主と同じ爪弾き。
 歌詞なしの魔笛は、ひとりっきり車の中。
 托鉢しない良寛さんは生きて行けない。
 一人遊びぞ我れは勝れるって、なにをやって来たんかなわしは。
 とんだ場違い。
 三つ目が行くってな。
空威張りらごら坊主の世は終わり割りを食うたか月見に一杯
 息してりゃまいーか。
 死ぬことだってできるんだしさ。

2010年07月02日 08:23 せっちゃん ショートショート・はるぜみ
芍薬の咲くころみーんみーんとかったるい声で鳴く、なんだありゃあ春蝉だってんで、名前を知って姿を見ることがなかった、
まくず生ふる山の間にして春蝉の長鳴きつつに日はも過ぎぬれ
春蝉の長鳴きつつに山を越え風の便りもうらみ葛の葉
 山は葛のはびこるころ。
 玄関わきのかえでに二匹いた。
 青い透明な蝉でそれは美しい。
 ようやく姿を見たと思ったらそれっきり。地球温暖化で絶えた。最後に挨拶に来たんだ。
 糸魚川の天然記念物ひめはるぜみとは違う、銀山平に鳴く茶色のきたはるぜみとも違う。
 なんていうんだろうあれは。
 それから地震があって、何年かして、庭にあったとげのきつい、草むしりには困りもののりゅうぜつらんが、もこもこと株を増やす。引っこ抜いたりしていたら、とつぜん花序が伸びて花が咲く。
 君が代蘭だという、センチュリイユッカといって百年ものの花を開く、百以上の花をつける。
 二年にわたって六本咲いた。
 いいことあるぞうって、はあてな、さっぱりいいことなかった。
 君が代は昭和天皇だ、千代に八千代にさ、殉死してりゃあよかったと思う。二・に六事件も、終戦のマッカサーサーに対するさえも、そのあとの御幸行脚も、ただもう涙するしかない。
 そうして日本は滅んでしまったのか。
 野球賭博なんて天皇の相撲じゃない。
 サッカーが惜敗してようやくに面目を保つ。
 わしの出る幕ではない。
 絶滅したはるぜみを呼び返そうか。
 はるぜみが云った、どこかで仲間に出会うことがあったらよろしくと。
 またユッカが咲いた、すごい、花の海になる。
 花序でもってテキーラをこさえた。飲むほどに酔うほどに雲の辺を行く。
 月がさやめく。
「地球に落下しているのわかるか。」
 そりゃ破滅だ、
「どうにかならんか。」
「マヤの呪術師を呼べ。」
 うっふっふなんとかするかも知れん。
 呪術師は岡田監督の首を切った。真っ赤な八つの蛇になって血が迸る。
 月は笑った。
「そうさほんの一二年云うことを聞こうか。」
 はるぜみが鳴いたらそれでいいよ。
 おかしいな百年たっているのに、そうかわしは月山のミイラだった。

2010年07月03日 08:15 せっちゃん ショートショート・恐竜刀
 学者の云うことは三年ごとに変わるって、恐竜世界は三日でころりと変わる、いまに恐竜なんていなかったって云出だしたり、人間が恐竜になって、恐竜おかまになって、おかまバーになって、止まり木に居眠りして涎たらして鳥になって、間延びしたてめえの顔を見ていたんだ、はーてな科学者っていうのはわかんなくなんねーんかな。
 李白研究家の花井先生が、むかしはわかっていたと思ってたのにっていうと、ジャリンコ知恵の猫がにやあと笑う。
 ノーベル賞だってさそれってがきっぽいな。
 恐竜と人の交歓土偶ってのあるよ。
 春の突風で物置がずんでんばらり、戊辰の役のを免れて、らくだの背みたいなってたのが、一場の漏羅。
 建てなおしてたら、教え子であった刀鍛冶が来て、なんで知らせなかったって、目こーんなにして捜す、三角釘だ。
 そーいえばやたらにあって、車パンクするで大苦労して、えっとどこへやったっけか。
 鉄が違うんだとさ、砂鉄が出て、加茂にはでっかい塊が出る、かたつむりみたい渦巻くんだ、ふーん。
 いえね古刀は一千万円の余する、四千万てのがお宝鑑定団に出た、人切り包丁たって、使ってないほどいい、殿様ご佩料みたいそりゃ貴重品だ。新刀になると秀でのでも百万円が限度。
 おれの四十万円で売れた。
 それじゃ食えねーだろ、アルバイトしてます、フランス旦那の地滑り測量に雇われたって、あいつ働きわりーんだけけけ。
 備前長船みたいな名刀が出来ないか、ノウハウも鉄も炭も調べ尽くして、次なることがわかった、今様は純粋過ぎるんだって。室町はいいかげんで、野放図で、たとい神仏の加護あって、単に為にす。
「そんでいい刀が出来たんか。」
「出来ない。」
「そりゃ当たり前だな、ろくな人間いないのにろくな刀できるわけねーが、けけけ。」
「まそーです。」
 とんでもない刀ができた。なまくら鈍刀不細工、牛刀ってのかぶっ殺すたんびに冴える、けだもの血吸ってばくやの剣になった。
 吉田兼好の名刀、
「つれずれ草」
 に匹敵する。
 平成の名刀これ。
「鍛えたやつ連れて来い。」
 うわやって来た、恐竜人間だ、ユカタン半島で生まれたんだとさ、もうろうのそっそり、力だけはやけに強い。
 そいつがあんまり賢くない教え子の云うこと、鵜呑みにして聞く。

2010年07月04日 08:10 せっちゃん ショートショート・ひぐま
 むかしもちもろこしっていうのがあって、それはおいしかった。白と青のだんだらで、ただもう甘いだけの今様品種改良とは、そーだなあ、別人種の工夫か。北海道に行ったらあった、道っぱたの出店で売っていた。次に行ったらなかった。もうどこにもなかった。こけちゃんが捜したら、ホテルのじっさが目を輝かして、聞いてみしょうと云う、農協に電話して問い合わせた、なかった。
わしが行くと憮然。若い女の子が
「もちもろこし。」
 って頼む、奇跡かな。
 ひぐまの牧場は登別でも見た。ひぐまが檻の中へ入って、一頭二頭ふてくされて寝そべっているのがいた。これが本筋だ。ひぐま神威が、餌欲しさに芸当をやるなんざ愚の骨頂。高村光太郎が悲惨=動物園の詩を書いて、世の中相変わらず動物園。
 檻の中にいるのが人間さまだってのが味噌。
 猿回しの好きな日本人は、檻より物真似。
 ゴリラが面白いってんで、日んがな見ていたっけな。人間は一万年進化したらゴリラになる。シルバーバックはなんでも見透す目。
 鯨取るなの野卑な一神教。毛唐ってんだなあれ。
 象は神さまだな。あんなにすばらしいものはない。はぐれ猿だって荘厳の大往生、うちの永久欠番ナムという猫も、荘厳死だったな。
 でもって評判の旭川動物園見なかった。
 山頭火でラーメン食って、わしはずっと醤油できたからといって醤油ラーメン食った。わっはっは塩ラーメンのほうがうまかった。
 いじけたじっさはかくの如し。
 いじけないじっさもたいてい同じ。
 短冊一枚一億円だあ、早く買え。
 四百枚で四百億、弟子からみんな夫婦がきとも丸抱えして、僧堂建てて、うっはあ新興宗教みたいなって、仏を復興するんだ、仏の教えを、日本の詩歌をさ、一大ルネッサンス。
 えーと死んでから百年したら、一万円になるかも知れんーかな。
 檻の外も奈落の底。

2010年07月05日 08:32 せっちゃん ショートショート・山百合
 共産党の志位委員長っての気味の悪い面してるな、ほっときゃ必ず金正日なるんけど、わかっちゃいるけど止められねーって、人間止めておかま恐竜なって、どっかへ卵産もうってのかな、性転換手術して、ーこれさ殺されんぞ、高倉テルのころから共産党って人殺してたな、主義主張ってのは殺人鬼だで、どーしよーもねえけど、そんなことして何になるんだべ。金正日なって、ポルポトになって、うわ最低。
 鬼やんまの羽化するのを見て、母と子と感動する、感動の瞬間をさ、美しいったらまったく無防備の。
 鬼やんまはかぶとむしやすずめばちと同じ大威張り、テレビに衝突したり、人の鼻先でホッバーして扇風機したり、乱暴で微笑ましくって、お寺のアイドル。
 選挙の間は無防備の羽化って、わっはっは世の中面白くなるか、政治家=まあさ嘘ばっかり。
 菅直人が最後の切り札か、しくじったら日本おしまい。
 山百合の咲くのはもっとあとだ。
 人がいるかと思ってはっと振り返ると、十も花をつけた山百合だ。杉を植えるといって、山を伐採したら、そこいらじゅうに咲く。
 それはもう一年こっきり。選挙運動だったら面白いのにさ。
守門なる笹み小百合のゆりあへのあひ見し君が忘らへぬかも
守門なる笹み小百合のゆりあへの人の姿にあどもへにけり
 英霊の塚に山百合が咲き乱れ。
 二階級特進陸軍伍長とか、年金の受取人が生きているかぎり、慰霊祭があって、県知事挨拶代読、なんとか代読なんとか代読やって、坊主のお経があって。菓子折りと赤飯貰ってー
 人類から戦争がなくなるって考えられんな。
 主義主張のあるかぎり、宗教だの思想だのあるかぎり、ー
 憶う良寛詩。
夫れ人の世に在るは、草木の参差たるが如し、共に一種の見に執して、到る処互いに是非す。
我れに似れば非も是となす、我れに異なれば是も非と為す、唯だ己れの是とする所を是とし、何ぞ他の非とする所なるを知らん。
乃至、遙夜熟ら思惟すれば、涙下りて収まること能はず。
 笹川の流れはそれは絶景で、石英砂の啼き砂はまっしろけ、百もの花をつけた山百合の行列。教え子の一隊連れてキャンプに行った、わあきゃあ大騒ぎ、どのテントもカレーライスを作る、
「先生おらあのうんまいぜ食え。」
 わっはっはこりゃ共産党じゃねえか、でも味違うってば違って。
 二十年して行ってみた、車が通って見る影もなく、
「笹川の流れってどこですか。」
「ここだけんども。」
 そうか、タイムマシーンに乗ってー

2010年07月06日 08:26 せっちゃん ショートショート・奄美
あだん咲き三千世界一村の涙溢れて極楽浄土
 奄美大島から嫁を貰った人がいた、美人だよって、挨拶に行ったら親父が釣り好きで、ここは毎日釣れるんだ、支那海が荒れるときは太平洋がないで、太平洋が荒れりゃ支那海が凪ぐ、どでっかいの釣れるぜ、かっぽれに石鯛にってさ。そっかホームレスに行こうか、なんせ東京から片道七万だって、行きはあっても帰りはねえ、はてなはぶがいて、玄関わきにはハブ取りの道具がー止めた。
 島は、佐渡へ行く馬鹿四度も行ったけど、他には八丈島だけ。甥っ子のしんちゃんが全日空へつとめて、家族パスを貰って四枚くれた。空手の羽賀にやって、もう一人は自前して、三人で八丈島へ行った。SY11機というのは狭い、チュワーデスはぶすでって、それがさ、帰り釣りあぶれた酔っ払いをあしらう、すばらしいって感心した。
 飛行機初体験で、どきわく、45分のフライトってのは最適の時間かな、三原山と八丈富士とどーんと見えて着いた。土底浜という処で釣る、うまずらはぎに無毒のフグににざだいに、雑魚もでけえ。ひらまさの小型のをこまさという、そいつはなぜか隣にだけ釣れる、すげー引きだ。
 タクシーに乗って島めぐりした。流人塚や丸い石垣や密生した笹薮ん中に家があったり、あれこれみーんな上の空で聞いて、ここがいいといって石ばっかりの荒礒に出た。
 狙い定めて何投めにか来た、ぐわんと引き入れてぶっつん。
 何かおかしい、避難だ、そうだ引き上げろ。道具をまとめて、30m上へ、同じ速度で水が来る、魂消た。
 しょうがない昼飯だって、歩いて行くとホテルがある、羽賀が手にした風呂敷を解く、なんと背広一式出てきた、靴もある。向こうじゃちゃんとしてねえとホテル入れねえ。なーるほどたって、こっちはオキアミまるけのどさくさ、まあさ、羽賀のおかげかなんか飯は食えた。
 羽賀の足くびがくーるり廻る、
「どうなってんだこれ。」
「一隊組んで、タクラマカン砂漠へ行ったとたんに、らくだの野郎人を乗せてること忘れやがった、ぽーんと放り出されて、捻挫してこーんなに腫れてさ、日本人医師の薬効かねえ、中国人がどっか行って草とってきてもんで貼りつけた、それが効いた。」
 十五日間歩きっぱなしで、マイナス15度の砂漠だ、それがさみーんな次第にいい顔なって来るんだぜ。ただもう砂漠だ、わしの一の弟子だと云っていた羽賀は、お寺に来て説教した。
 話はうまいし、冒険家として彼ほどの男はざらにはいない。
 タクラマカン砂漠終わって、三日も帰ってこない。京大のおねーちゃんと時化こんでいたんだって、おれももう最後だと思ったしって、うっふふ。
 羽賀はすっかり有名人になって、お寺には来ない。講演年に150も頼まれるとさ。
 孤高の画家田中一村の絵は、最後の三十枚が絶品であった。
ふだらくやミイラになりて漂ひにあだん花咲く奄美の島へ

2010年07月07日 08:17 せっちゃん ショートショート・野糞
 イヌイット、エスキモーの彫刻は本当にすばらしかった、彫刻家なんかなしでだれでも彫る、木の中にあざらしがいたらそれを彫り出す、しろくまがいたらしろくまをってふうに。人間も生きて動物も生きて、みんな神さまのもの。オーロラのきらめく天と地と。昭和三十年までは残っていた。今はただの観光業かな。アフリカの仮面も彫刻もよかった、森の化け物がゆーらり歩く、消えりゃ茂みと風と。まんとひひが吼え象の叫ぶ。キリスト教是非善悪のひとりよがりなぞ止めとけ。復活しようと思ったら、いったん死んで生まれ変わる何世代、民族のルネッサンスはあるのか、スタイルの復興は。
花嫁は仙納を行き山野田を行き千代に八千代に松代清水
 中越のこのあたり道がつらなり、十戸とか二十戸の村から村へつなぐ、地滑り地帯で、人身御供を建てて祈願したという、
「そうそう行き倒れは転がっていない。」
 地滑り業の、フランス旦那が云った。
「ふんどしの汚ねーのからとっつかまえてさ。」
 美しい娘なんてそりゃもう貴重品。
 にごり水しか行かない、山のてっぺんまで田んぼだ、うんまい米が獲れる、じっさどもが高級カメラ抱えて、棚田を撮る。
 なんせわしのドライブコースだ。新道発見は冒険だったが、上越まで行かねばもう発見はなく。あんまり行くと日帰りが出来ぬ。
 秋にはきのこを捜す、ろくなもんは採れん、すぎひらたけが毒きのこになって、なにしろ上がったり。
 ひーえ野糞を踏んずけた。
 臭いことものすごいこと、どーもこーもならぬ。水溜りにこするつけ山を歩いて免れた。
 ある年大地の芸術祭といって、変なものを展示する。野糞の垂れ流しは、臭いも迫力もるがさ、こりゃいったいなんだ、よったくってだれか薀蓄する、ぐえ吐きそうになる。
 くもの巣張ってかび生えて、国宝の展示は不可になる、そうだよなあって思ったり。ちっとは村のためといって、忘れられるだけが取り柄の。ごみあくた。
 くそ人のドライブコースをさ。
 もし何物か生み出そうとするなら、
「諸縁を放捨し、万事を休息して、」
 ものみな忘れ呆けることから、そう今はなんにもしない時だ。
山を越えぴーひゃらどんと笛太鼓月に浮かれて松代うさぎ

2010年07月08日 08:23 せっちゃん ショートショート・あさぎまだら
年ふりてまた越ゆべしと思ひきや命なりけり小夜の中山
 あけみちゃんが案内してくれた、小夜の中山が静岡にあるとは思わなかった。ゆかりの寺がある、密教系の無住で古さびて、住まうには全面改築が必要だな。木戸銭取って暮らして行くかって、寺は坊主の私有物になって、そのまあ強欲たかりのどーしよ-もなさ、おいそれとは入れぬ。あさぎまだらが無数に飛んで、花にとまるのをつまんだりする。
 あけみちゃんは、四人の子を持つおっかねえ年増で、なんてえお寺だったか忘れちまったが、案内する。近くに川が流れて、川土手に石がにょっきり生える、そいつが成長して卵塔の形になってぽろりと落ちると、住職が死ぬ、七不思議だそうで、自然石の卵塔が歴住の数だけあった。総持寺輪住の一世はずばぬけてでかい。今の坊主どもたといそうあったって、生死を明らめねーなあ。それから清水の次郎長に行って、スペイン料理店サングリアに行って。
 あさぎまだらは海を渡る、有名なのはおおかばまだらという、メキシコの森に何十万も越冬する。モナーキーといってニュージーランドにも渡るらしく、ニュージーランドの16種の蝶の中に入る。日本は200種台湾は300種、ニュージーランドって、神様が見放したような島で、哺乳類なし、しじみちょう取ったらできそくないの、柄も一定せずのなんだこりゃ。
 そこへ毛唐どもが来て、鯨取るなって喚く、お笑いだな。太地のイルか取りがアカデミー賞なら、宮崎の口蹄疫二十五万頭の牛ぶっ殺すの映画にすりゃ、そりゃもうノーベル賞間違いなし。みんな仲良く平和にああ原爆は許すまじの、人間は虐殺と理不尽の上に成り立っているのさ、牛や豚は神さまが人間の食うためにこさえたんだって、なんてえ身勝手。
 信州はあさぎまだらは貴重品で、蝶仲間が採った、しつこく聞きいて採りに行く。いた、あでやかなに優雅に飛ぶ、手がふるえて取り逃がす、大空高ーく飛んで行った。
 ゆーじさんとドライブして、きっと松茸が生えると云って、山をかき上る。松茸もなんのきのこもなく、引き揚げたらゆーじさんが来ない、動くよりは待っていたらあさぎまだらが舞う。
 越後で見たのは初めてだった、そのうちお寺にも来た。
 川に橋があった、にょっきり手がかかる、
「どうしたこら。」
 沢へ落ちて、ずぶ濡れんなって出た。
「わかんなくなって、死ぬとこだったです。」
 登って下りるだけの山をさ。
 だれかれわしにはひどいめにあっている。
 でもあいつは悟っている、今にものになる。
ここもまた我が住み憂くてお去りなば少松は一人にならんとすらむ
 悟りを去って本当になるとは、悲しく辛いたったこれだけだ、なにをしようが真正面、まっ赤な血が流れる。蝶を採らずば蝶も寄って来る、囀れば小鳥も囀る、ものみな仏、早くなんとかして跡を継げ、引退だあな。
 静岡にながさきあげはがいた。
 越後につまべにちょうは来ないか。
 千日回峰なんてめじゃねーなあ。

2010年07月09日 08:08 せっちゃん ショートショート・杉
 杉起こしも馴れりゃ面白いって、わしはえらいめして一丁前にもならず終わった、雪国のしんどい大仕事。機械を使ってまっすぐしにしたと思ったら縄がぶっ切れ、一山すませてやれ嬉しや、たいていもとに戻っていたり。
 大工っけのない男はいないって、本棚作ったら、板一枚足らない、間に合わせめっけて鑿を使うと、なんだあこれ豆腐みたい、地物じゃなかった。
 雪に折れしだえてがっしり、家を建てるんなら贅沢にー地元の杉。
 溜まり池に春先さんしょううおが卵を産む、たのじょうというのかな、幼生はえらが飛び出してアホロートルだ。
 親はいなくなる、落ち葉の中にいた。
 なまけものより省エネで、冬眠して夏眠して、でもってなにしてるんだやら。見習う気はしないな。先代の奥方は疳の虫に効くって幼生をぺろり飲んだ。どっか頷けるかな。
 それもまあ滅びちまったみたいだけどな。
 林業組合はどうやって税金をぱくるかが問題で、あとは二の次三の次、ひっかかってえらいめに合って、訴えるぞど脅したらしゅんとした。
 入広瀬なんか、何百年のけやきのを伐採して杉を植える、豪雪地帯だ育ちっこない、みんなひんまがって変なふうになった、けやきはなめこが出て二三年取れた。
 山菜取りもいじましいな、ハングリー世代のあくせく、空き缶弁当箱ほったらかしに山荒し。むしろ敷いて干してあるぜんまいまで持ってきちまう。ぜんまい取りが遭難して、ヘリコプター出したらそいつが墜落、大事件になった。どこもかしこも入山禁止になった。国有林もおらあもんの、ようもわからんけどまあそーゆうことさな。
 大雪村の冬は交通途絶になって、失業保険を貰って鉄砲をぶって歩く、天然記念物のかもしかが落っこちていて、
「あいつは口の軽いやつにはやれん。」
 てなわけで、わしとうとう貰えずじまい。
 足るを知るって、禅門の手水石みたいなさ。
 山村もまあ、ダムを作りそこらじゅう削っていつか不毛の地、開発の浅知恵は山も川も駄目にする、土建業者と政治家が儲かるだけだ。
 さんしょううおの省エネを見習ったほうがいいか。
 ダムを撤廃すりゃいーのさ、
川を越えここはもいずこ十日町山杉しだえ人も老ひぬれ
 杉を育てる人がいなくなった、苦労して育てて二世代三世代と受け継ぐ、山仕事というのは、神聖なって云いたくなるほどに、どっか人間に似合っていたけどな、なんせ杉売れない、いやさ買うとけっこう高いけど、売ると伐採して出すほうが却って高くつく。
降る雪に植えたる杉の折れしだへ愚かしき我が宿世の如く

2019年05月31日